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朝里岳(2017/03/05)

お手軽パウダー


業者さんのツアーみたいな大人数、これでも全員じゃない!

国際スキー場のスカイキャビンに乗って朝里川沢を滑り降りよう。
そんなお手軽なバックカントリーツアーをI山さんが企画してくれた。

そのお手軽さに惹かれて、今シーズン最多の15名が集まった。
カヌークラブじゃなくて、そのままバックカントリークラブになりそうな勢いである。

センターハウス付近では殆ど風は吹いていなかったのに、山頂駅を降りると、予想通り風は強かった。

山の天気予報では、今日は風が強くて登山不適マークが付いていたのである。

山頂駅の標高は1100m。
ダケカンバやアカエゾマツは、雪に覆われ真っ白である。


風景だけは穏やかに見えるけれど・・・

何時もならば、こんな風景を見るためには少なくとも2時間は登らなければならない。
それが、スカイキャビンの中でお喋りしている間にこんな所まで連れてきてくれるのだから、文明の利器は素晴らしい。

上空には青空が広がり、写真だけを見ればとても快適なバックカントリーツアーの様に見えるが、風が強いので実際は結構厳しいツアーである。

周りにはスノーモービルのけたたましいエンジン音が響き、排気ガスの臭いも漂ってくる。
スキー場まで来る途中、朝里峠の駐車場に集まっていたグループのようだ。

機動力があるのだから、わざわざスキー場の近くじゃなくて別の場所で遊べば良いのにと思ってしまう。
多分、今日は西風が強いので、風を避けられるこの辺りに集まってきているのだろう。


回りにはスノーモービルのエンジン音が響き渡っていた



猛烈な風に乗って細かい雪が飛んでくる

今日滑ろうとしている斜面までは、朝里岳の斜面をトラバースしていけば行けるはずだ。
それでも一応は朝里岳を目指して登っていくらしい。

今回の参加メンバーで、今日予定している斜面を滑ったことがあるのはY須賀さんとK田さんご夫婦だけ。
Y須賀さんが滑ったのは、この国際スキー場が出来る前のとんでもない昔のことだという。

森林限界を抜けて朝里岳に登るにしたがって、猛烈な風が吹き付けてくる。
急な斜面を登り切ったところで一旦ルートを確認する。
私も事前にネットで調べて、何本かのトラックをGPSに登録してあった。

予定しているであろう斜面までは、そこからでも滑っていくことができる。
しかし、Y須賀さんの記憶ではもう少し先の斜面を降りたような気がするとのこと。


身の危険を感じるような地吹雪である

結局、更にもう少し登ることになる。
風は更に強くなってくる。
ボードを背負ったO橋さんが吹き飛ばされそうだ。

標高1260m付近から滑り降りることになる。
しかしそこは、風を遮るものが何も無い場所だった。
皆、黙々と滑走準備をする。
地吹雪のため、雪面に置いたザックがあっと言う間に真っ白になる。
ゴーグルが凍り付く。
私のこれまでの山スキー経験の中で、これだけ悲惨な滑走準備は無かった気がする。

上空からエンジン音が聞こえてきた。
そう言えば、カヌークラブのI田さんがモーターグライダーで撮影しに来るかもと言っていたはずだ。
しかし、上空を見上げる余裕も無く、ひたすら準備作業に没頭する。

そうして、皆の用意が調ったところで、ドロップポイントまで滑り降りる。
しかし、シュカブラが出来ているので、まともに滑ることができない。


ドロップポイントまで滑り降りる



派手に雪を巻き上げながら滑り降りる

やっと辿り着いた斜面は、下が見えないくらいの急斜面だった。
斜度40度くらいはありそうだ。

I山さんが真っ先にそこを滑っていく。
他のメンバーも大喜びで滑り降りる。
私も覚悟を決めて、その斜面を滑り始める。

風で飛ばされてきた雪なので、表面が軽くクラストしている。
結構嫌らしい雪質だが、斜面が急なので、意外と上手くターンできる。
これは楽しいかも。
カメラを構えているI山さんを通り越して、一気に下まで滑り降りる。

重たい雪に苦労して滑っている人もいたが、楽しくてしょうがないって顔の人の方が多い。
これはもしかしたら「もう一回登り返そう」なんて言い始める人が出てくるかもしれないと心配になる。


下の方はそんなに急斜面ではない



スキー場間近の最後の沢越え

確かに良い斜面だけど、雪質はそんなに良くはなく、天気もパッとしない。
それよりも、滑走準備の時に強風に晒され、身体が冷え切っていたので、登り返す気にはなれなかったのだ。

結局、そのまま滑り降りることとなってホッと胸をなで下ろした。
そこからスキー場までは、沢沿いに滑り降りることとなるのだが、ここが結構な難所である。
沢が開いている場所もあり、気を付けないと落ちてしまうのだ。

途中で行き場が無くなり、シールを貼って途中まで登り返す。
これならば、もっと上で登り返して、白井岳から下りてくるルートに合流した方が楽だったかもしれない。

数日前に全道的に雨が降って、その後も大した雪は降っていなかった。
そんな条件だった割には、楽しく滑ることができた山行だったのである。


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