「熊野古道を歩いてみよう」
漠然とそう思いついたのが、今年の春だった。
でも、熊野古道についての私の知識は、世界遺産に指定されたという事実だけで、頭に思い浮かぶのは苔生した石段のイメージ程度である。
紀伊半島の地理さえも全く分からず、まずはその地図を買ってトイレの壁に張り、毎日眺めるところから旅の準備は始まった。
公式ガイドブックを購入し、一口に熊野古道と言っても大辺路・中辺路・小辺路・紀伊路・伊勢路・大峯奥駆道があることを知る。この中では中辺路が、昔ながらの古道の雰囲気を良く保っているらしいので、ここを歩いてみることにした。
しかし、1日20キロ前後の険しい道程を4日間かけて歩かなければならず、自分の体力が持つかどうかも心配である。そこで、朝の自転車ロードワークやジョギングによる基礎体力作りにも取り組んだ。
今年はキャンプスタイルも変えて、ザックを背負って天売・焼尻島や礼文島にも渡ったけれど、これも全てが熊野古道へ向けてのトレーニングのつもりだった。
ところで、熊野古道は「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界文化遺産の登録を受けている。
世界自然遺産である知床や屋久島などは、単純にその風景を楽しむだけでも満足できるが、文化遺産の場合はその歴史も知っておいた方が、より深く楽しむことができるだろう。
そう考え、トレーニングと並行して熊野古道に関する本も読むことにした。
そうして、10月始めに紀伊半島をかすめた台風18号でも、伊勢路の一部が通行止めになった以外は熊野古道に大きな被害も無かったようで、北海道で猛威を振るっている新型インフルエンザにかかることなく、日本の遥か南海上でウロウロしている台風20号の動きがちょっと気になるけれど、無事に旅立ちの朝を迎えたのである。
以下、熊野古道歩きを中心とした7泊8日の私達夫婦の旅の記録である。
● 新世界で串カツ食べて高野山を歩く (熊野古道の旅 1、2日目)
10月24日(土)新千歳空港 → 関西空港 → 新今宮 ビジネスホテル泊
10月25日(日)新今宮 → 高野山 高野山散策 高野山 → 紀伊田辺 ビジネスホテル泊
● 熊野古道中辺路(滝尻王子~継桜王子)を歩く (熊野古道の旅3日目)
10月26日(月) 紀伊田辺 → 滝尻 19キロを歩いて民宿のなか山荘泊
● 熊野古道中辺路(継桜王子~熊野本宮大社)を歩く (熊野古道の旅4日目)
10月27日(火) 24キロを歩いて蒼空ゲストハウス宿泊
● 熊野古道小雲取越(請川~小口)を歩く (熊野古道の旅5日目)
10月28日(水)熊野本宮 → 請川 13キロを歩いて小口自然の家泊
● 熊野古道大雲取越(小口~熊野那智大社)を歩く (熊野古道の旅6日目)
10月29日(木) 15キロを歩いて青岸渡寺宿坊尊勝院泊
● 熊野古道大門坂を歩き熊野川を下り神倉山を縦走 (熊野古道の旅7、8日目)
10月30日(金)大門坂 → 那智 → 新宮 熊野川を下る ビジネスホテル泊
10月31日(土)神倉神社から神倉山を縦走 新宮 → 関西空港 → 新千歳空港
※ 2016年には3泊4日で小辺路も歩いています。
その時の様子は夏山歩きのページにアップしてあります。
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