北海道キャンプ場見聞録
富良野岳(2023/02/26)
降り積もるパウダー
カヌークラブ2日目のスキーツアーは富良野岳。
週末には駐車スペースが直ぐに埋まってしまうため、宿を早めに出て午前7時45分には現地に到着。
流石にこの時間では先客の車は2台しか停まっていなかったが、天気が悪かったことも影響していたのかもしれない。
雪がモサモサと降る中を午前8時15分に出発。
まずは道路を少し歩いて、途中から除雪の雪山を登って超える。
誰かが登った跡がないと、この雪の壁は簡単には超えられない
その先で沢を2度渡る。
誰かが板を渡してくれているのだが、どうせならばもう少し幅広の板にして欲しい。
最初の沢は水もチョロチョロと流れている程度なので安心して渡れるが、2箇所目は高さもあって水の流れも多く、かなりの緊張を強いられる。
シーズン中に数人くらいは沢に落ちたとしても不思議ではない際どさである。
この沢超えはまじでビビった
沢を渡り終えた後から本格的な登りが始まる。
落葉樹の枝先まで、降ったばかりのふわふわの雪が積もっている。
真っ白な森
針葉樹は積もった雪で重たそうに枝を垂らす。
降りしきる雪の中、そんな風景を楽しみながら黙々と登っていく。
枝が重たそうなマツ
今日の参加者は15名。
昨日の前十勝では大行列の最後尾の方から登っていたけれど、今日は積極的に先頭グループに付いていく。
後ろの方で登っていると、汗をかかないペースを維持できるけれど、先頭のペースに合わせて登っていると、どうしても汗をかいてしまう。
普通ならば上着を脱ぐところだけれど、これだけ雪が降っているとそれもできない。
自分の後ろから登ってくる人がいるのは良いけれど
私の前を登っていたNモトさんが堪りかねたように上着を脱いだが、私が下に着ている中間着は防水性能も低下しているので、内部から蒸れる他に外からも濡れてしまったらどうしようもない。
ザックに取り付けている温度計の針はマイナス15度を指している。
何かトラブルがあると直ぐに低体温症になりそうなので、なるべく身体はドライに保っていたいのだ。
私も上着を脱ぎたいけれど
でも、この気温の低さのおかげで、積もっているのは正真正銘のパウダースノーである。
昨日は富良野岳にも多くの人が入っていたようだが、新たに降り積もった雪で森の中のトラックも殆ど埋もれていた。
この雪をラッセルしながら登るとしたら、完全な膝ラッセルになりそうだ。
森の中には樹木が空いているカ所も増えてきたが
歩きながら積もっている雪をストックで撫でてみると、表面の雪がサーッと崩れ落ちる。
周りの雪面も細かなひび割れがそこら中に広がっていた。
この状況では、沢の斜面は危なくて滑っていられない。
ひび割れた雪面が気持ち悪い
見通しも悪く、1340m付近でそれ以上登るのは諦めることになった。
その付近はまだ樹木も多く、雪崩の危険性も少なそうだ。
これくらいの斜面ならば滑れそうだ
それでも、刺激を与えると周りの雪が一斉に崩れるかもしれないと心配だったが、最初に滑った人の様子を見ているとそんな心配も無さそうだ。
滑っている人の姿が、舞い上がるパウダーで見えなくなるが、とても楽しそうだ。
雪に埋もれながら滑走準備
私もその後に続く。
久しぶりにパウダースノーの中での浮遊感を味わう。
雪煙を吸い込んで息が詰まりそうになる。
バランスを崩して尻もちをつくと、底なしの深いパウダーの中に身体が沈んでしまう。
何とか起き上がろうともがくが、どうしようもない。
そこに現れたNモトさんのお陰で、何とか底なしパウダーから脱することができた。
ここまで降りてきたら一安心
写真を撮ることも忘れてパウダーの滑りを楽しむ。
思っていたよりも積もった雪は安定していたようで、これならばもっと上から滑りたかったような気もした。
でも、この誘惑が命取りになることもあるのだろう。
最後にまた沢渡りの試練が待ち受けていたが、落下することなく無事に沢を越えた。
雪崩の恐怖よりも、沢を渡る恐怖の方が大きい。
何はともあれ、事故もなく車まで戻ってこれたのが良かったと思われるような山行だった。