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旭岳(2022/03/13)

これがアルパインだ

I山さんから旭岳の企画を聞き、直ぐに天気予報を調べてみると日曜日は風も弱く日差しもありそうだ。
先週の利尻遠征では天気に恵まれず、せっかく利尻まで行ったのに森林限界から上のアルパインエリアを滑ることができずに終わってしまった。
そのリベンジをするためには、旭岳は丁度良い場所である。
ロープウェイを降りれば、そこは標高1600m。完全なアルパインエリアなのだ。
直ぐに参加表明。

ロープウェイの運転開始は午前9時、集合時間は午前8時半。
余裕を持って10分前に駐車場に着いたけれど、駐車場はほぼ満車。
後10分遅れたら駐車場にも入れなかったところだ。

今日の参加メンバーは8名。
前日から東川町のBBさん宅に泊まっていたメンバーは、到着も早かったようで、始発のロープウェイに乗れたけれど、遅れた私とI上さんは、3往復目のロープウェイでやっと姿見駅までやってきた。

旭岳バックカントリースキー
空が真っ白なのが残念


陽射しはあるけれど、空は霞がかかったようで真っ白だ。
風がないので地獄谷の噴煙が真っ直ぐに立ち昇っている。
カメラを向けるが、山も空も白いので、液晶画面に何が写っているのか分からないままにシャッターを切るしかない。

ロープウェイに並んでいた長蛇の列は、その殆どがスキー場の方を滑る人たちだ。
スキー場とは言っても、そこを滑る殆どの人の目的は、コース脇のバックカントリーを滑ることなのだろう。

勿論、ロープウェイを降りて旭岳に向かう人達も多い。
夏道から旭岳山頂を目指すグループ、真っ直ぐに噴煙を上げる地獄台に向かうグループ、安足間岳に向かうグループ。
真っ白な山の風景の中に、そんな人達が蟻の列のように見えている。

旭岳バックカントリースキー
私達はこのまま山の左側へと登っていく


私達のグループは、旭岳の北斜面を目指すことにしていた。
今日の天気ならば旭岳山頂に立つチャンスだけれど、例によって皆の頭の中には山頂よりも滑るのに良い斜面を探すことしか無いようだ。

昨日は20センチくらいの降雪があったと聞いていたが、風も強かったのでその雪は殆どが飛ばされてしまっていた。
山全体がシュカブラだらけで、これで果たして滑れるような斜面があるのか心配になってくる。

旭岳バックカントリースキー
斜面の雪は殆ど飛ばされてしまったようだ


旭岳を回り込むように、北斜面に向かって徐々に高度を上げていく。
空もようやく青さを取り戻してきた。

斜面を回り込んでいくと、その先に当麻岳や安足間岳の真っ白な姿が見えてきた。
既にその斜面を滑っている人たちもいるようだ。
5年前のGWに、その麓でキャンプしながら安足間岳を滑ったことが懐かしく思い出される。

旭岳バックカントリースキー
たまえに小塚と大塚、その奥に安足間岳


シュカブラは柔らかいけれど、所々で氷の雪面が顔を出している。
途中からスキーアイゼンを付けて登っていく。
シュカブラが無くて雪も柔らかそうな斜面が有ったが、先を登っている人たちはそんな斜面には目もくれずに登っていく。

旭岳バックカントリースキー
先頭の人達はどんどん先へと登っていく


全体的にかなり固くなっている斜面が前方に現れた。
スキーアイゼンを持ってきていないBBさんは、滑落のリスクがあるからそこから先へは行けないと言う。
そんなことには構わずに先頭グループはどんどん先へと進んでいく。
その先にもっと良い斜面があると分かっていれば無理してでも進むところだけれど、行けるところまでは行ってしまう人達なのでどうしようもない。


 

結局、BBさんだけそこに残って、他のメンバーも先へと進むことにした。
そしてこれ以上は進めない様な場所まで行ってから、ようやくその手前の斜面を滑ることに決めたようだ。
そこが特に楽しそうな斜面とは言えなかったけれど、標高を上げた分、滑り距離は長くなっていた。

旭岳バックカントリースキー
気が付くと後ろからガスが湧いてきていた


まずはI山さんが、動画撮影のために先に滑り下りていく。
そこに突然ガスが流れてきて、I山さんの姿を隠してしまう。
気がつくと、旭岳の南側からガスが次々に流れてきて、安足間岳や周りの山々も完全に見えなくなってきた。

旭岳バックカントリースキー
I山さんが先に滑り下りた時はまだその姿も見えていたが


視界が殆ど効かなくなり、これではどちらに向かって滑り降りれば良いのかも分からない。
ガスが何時晴れるかも分からず、I山さんに動画を撮ってもらうのも諦め、ガスが少し薄くなった瞬間を狙って次々に滑り降りる。

旭岳バックカントリースキー
ガスの中に滑り下りていく、背景の山は熊ヶ岳


ガスの中に入ると、何だかそこの空気だけが生暖かく感じた。
微かに硫黄の臭いもするし、暖気がガスを発生させて地獄谷の方から流れてきたのだろうか。

旭岳バックカントリースキー
このままガスの中に姿が消えていく


そのガスも次第に晴れてきて、また元の青空が戻ってくる。
1人で残っていたBBさんの姿も確認できて、BBさんはそのまま最初に見つけた斜面の方を滑り下りていった。

旭岳バックカントリースキー
ガスが晴れてきてBBさんの姿を確認


 

BBさんと合流するためにその方向にトラバースしていくと、沢の中に雪が溜まっている場所を発見。
その中にある1本のシュプールはBBさんが描いたもののようだ。
私達もその中を滑ったが、少し重たいけれど、このコンディションの中では柔らかくて良い雪と言える。

旭岳バックカントリースキー
小さな沢の中に柔らかい雪が溜まっていた


BBさんと合流して一休み。
まだ少し時間があるので、ここから登り返して、同じ沢の中をもう1本滑ることになった。

沢の横を登りながら、私はその横の斜面の方が気になっていた。
そこは最初に見つけて滑ることも考えた斜面である。
沢の中を滑っても、雪は重たいし、シュプールだらけの中を滑っても楽しくない。
それよりも、誰も滑っていないこちらの方が絶対に楽しそうだ。

旭岳バックカントリースキー
登り返しながら右側の斜面が気になっていた


そうして、私一人だけ皆から離れた場所でシールを剥がす。
それにはもう一つの理由もあった。
皆が沢の中を滑っている様子を撮影する時に、安足間岳を背景に入れることができるのである。

旭岳バックカントリースキー
いかにもアルパインエリアを滑っている感じで好きなショット


そんな写真を撮ってから、狙っていた斜面を恐る恐る滑ってみた。
すると、多少のデコボコはあるものの薄く積もった雪は柔らかく、気持ちの良い一本を滑ることができたのである。

旭岳バックカントリースキー
こちらを滑って正解だった


その後はロープウェイの姿見駅を目指して滑っていく。
斜度は緩いけれど、登りのトレースを利用すれば、登り返すこと無く滑ることができる。

旭岳バックカントリースキー
地獄谷の噴煙


途中で、登るときには撮影できなかった青空を背景にした旭岳の姿をカメラに収める。

旭岳バックカントリースキー
やっぱり青空が背景の方が格段に美しい旭岳だ


逆光で霞むオプタテシケや十勝岳の姿も美しい。
地元のBBさんが言っていたけれど、こんなに良い条件の旭岳は滅多に無いらしい。
そんな時にここに居られたのは本当にラッキーだった。

旭岳バックカントリースキー
最高の天気!


その後はスキー場のゲレンデを滑る。
ゲレンデとは言っても、圧雪車が走った跡がゲレンデになっているだけである。
ほとんどの人はコース外を滑っているけれど、ちょっとゲレンデから外れると重たい雪でターンもままならない。
圧雪されたゲレンデは好きじゃないけれど、太ももの筋肉が悲鳴を上げているので、少しでも楽な場所を滑った方が良い。

旭岳バックカントリースキー
こんな様子を見るとやっぱり自分で山に登った方が良く思える


旭岳バックカントリースキー
岩の上から飛び降りたのか!


でも、雪の良い時ならばロープウェイを利用してバックカントリーを滑るのもありかもしれない。
とは言いつつ、そんな時は旭岳にも良い斜面がありそうなので、結局は山を歩いて登ってから滑ることになるのだろう。



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