北海道キャンプ場見聞録
天幕山(2022/01/09)
報われない山行
カヌークラブの新年会で登る上川町の天幕山。
参加者の殆どは協和温泉に宿泊して、前日の土曜日には浮島湿原近くの山を登っていたが、私はこの日だけの日帰り参加である。
昨夜に飲み過ぎたせいもあるのか、集合時間に遅れる人もいて、登り始めた時は既に午前10時を過ぎていた。
登山口に少しだけ駐車スペースがあるが、人数も多かったので大部分の車はそこから400mほど離れた広い駐車場の方に車を停める。
留辺志部川を下る時に利用する駐車場なので、私達にとってはお馴染みの場所である。
参加者は15名。この中に天幕山を登ったことがある人はだれもいない。
参考にした他の人のルートでは、シビナイ川を渡るスノーブリッジが見つからずに川沿いの林道をかなり上流まで登っているケースもあった。
でも、シビナイ川を渡るのならばスタート地点の直ぐ横に国道の橋があるので、それを利用すれば済む話だ。
現地は一体どんな様子なのだろうと思っていたが、幸い石北本線の線路を超えた直ぐ先に丁度よいスノーブリッジがあって、無事に問題解決。
スノーブリッジを渡って急斜面に取り付く
川を渡った直ぐ先から、樹木の混んだ急斜面の登りが始まる。
今日のものと思われるトレースがあったので、それを使わせてもらう。
他にも雪に埋もれたトレースがあるが、それは多分前日のものだろう。
マイナーな山だと思っていたけれど、結構登っている人もいるようだ。
帰りにここを滑ると思うとちょっとうんざり
チラチラと雪が降り始める。
雪が降っていると汗をかいても上着を脱げないのが辛いところだが、スローペースなので汗をかくこともない。
15名の大人数ともなると、各自の登る速さも様々。
どうしても遅い人のペースに合わせることとなるが、今回のメンバーは半分以上が遅い人なので、早く歩くと直ぐに後ろから文句を言われる。
急な登りが続く
何処まで続くのかと思えた急斜面もようやく終りが見えてきた。
トドマツの間を抜けると急に視界が開ける。
尾根の上に出てきたようだ。
尾根の上に出てきた
ここで休憩を入れる。
登り始めてから1時間経っていたけれど、距離的には全体の行程の1/4までしか来ていない。
このペースで本当に山頂までたどり着けるのかと心配になってくる。
まだまだ先は長い
しばらくの間、尾根の上の緩やかな登りが続く。
緩やかすぎて、途中で下っているような場所もあった。
帰りのことを考えると、常に一定の勾配で登っていければ良いのだけれど、初めて登る山ではそれも難しい。
今日はボードが一人いるので、下山は苦労しそうだ。
巨木の前で記念撮影
先頭を歩いている人が「速すぎる」と怒られ、ゆっくり歩くと今度は遅すぎる。
慣れていないとペースメーカーは意外と難しいのだ。
私が変わってペースメーカーとなる。
前回はかみさんと二人で手稲ネオパラに登って、かみさんのペースに必死になって付いていったけれど、本当は汗をかかない程度のスローペースでゆっくりと登る方が良いのである。
時々後ろを振り返ると、列が間延びすることもなく着いてきていてホッとする。
一列縦隊での行軍
次第に周りの風景が雪深いものに変わってくる。
これで天気が良ければ最高の風景となるのだけれど、贅沢は言わない。
雪が降りしきる白い森の風景も乙なものだ。
真っ白な森の風景
尾根上の緩い上りが続いた後、山頂近くで再び急登となるはずだ。
既に昼の12時を過ぎていたので、その前に昼食休憩をとる。
山頂に着いたら別の斜面を滑って登り返すと言っていた人も、流石にそんな時間はないと観念したようだ。
三日前に登った手稲ネオパラは、ここよりも標高差も距離も大きかったけれど2時間で登っていた。
人数が多いのでその時間で登るのは無理だろうけれど、3時間あれば余裕で登れるだろう。
そう考えていたけれど、どうやら甘かったようだ。
もう少しで森を抜けられそうだ
休憩を終えて再び登り始め、ようやく目の前にオープンバーンが現れた。
2時間半歩いて、ようやく滑りを楽しめる斜面にたどり着いた感じである。
ここまで、緩斜面だったり、急斜面でも樹木が密生していたりと、まともに滑れそうな場所は殆ど無かったのだ。
目の前にオープンバーンが広がったが
しかし、楽しみにしていた斜面が何かデコボコしているように見える。
ここまで登ってくる途中にも、雪面がデコボコしている場所があって、下に倒木でも埋まっているのだろうかと思っていた。
どうやらそのデコボコの正体は、スノーモービルが走り回った跡のようだ。
一週間前くらいの古いトレースのようで、かなり固くなっている。
その上に30~50cm程度の新雪が積もっているのだ。
油断して滑っていると、そのトレースに引っかかって転倒してしまいそうだ。
分かりづらいけれど、斜面はデコボコだ
スノーモービルのトレースは斜面全体に縦横無尽に広がっている。
一体どうやったらこれだけ斜面を荒らすことができるのかと、呆気にとられた。
とりあえずはここを登りきれば山頂なので、気を取り直して登っていく。
ここまでもそうだったけれど、先行者のトレースがやたら急で、しかも細かくジグを切りながら登っているので、慣れない人はかなり苦労していた。
ようやく斜度も緩くなってきた
ラッセルしながら新しいルートを開拓したり、今までのトレースを使ったりと、それぞれの体力に合わせて登っていく。
斜度も次第に緩くなって、山頂までもう少しだ。
モノトーンの世界でナナカマドの赤い実が鮮やかに見える
ここの山頂は殆ど平らなので、滑りだけが目的の人は山頂手前でスキーのシールを剥がし、ピーク狙いの人だけが山頂に向かう。
天気が良ければ私も山頂を目指すところだが、この天気では山頂まで行っても何も見えないので、私も途中でシールを剥がすことにした。
山頂までは登らずに終了
滑る頃になると少しだけ天気も回復し、雪面も見えるようになってきた。
スノーモービルのトレーストラップに引っかからないように滑らなければならないので、これは助かった。
少しだけ天候も回復
膝までのパウダー。
雪質は最高である。
思いっきり飛ばしたいところだけれど、やっぱりトラップが怖いので、慎重に滑り降りる。
膝まで埋まるパウダー
何人かはトラップに引っかかって派手に転倒していたけれど、私は上手くトラップを避けて滑ることができた。
最初にギタギタに荒らされた斜面を見た時はがっかりしたけれど、滑ってみるとやっぱり楽しい。
林間のほうがデコボコは少ない
しかし、楽しい時間は直ぐに終わってしまった。
そこからは苦行が始まる。
たまに気持ちよく滑られる場所もあったけれど、他はひたすら続く緩斜面に樹木の密集した急斜面。
あっという間にオープンバーンを滑り終える
最後の急斜面に入った時には既に午後3時を過ぎていた。
ゴール間近だから良かったけれど、この季節は午後3時を過ぎれば暗くなり始めるので、ギリギリの時間である。
足も疲れていて慎重に滑ったつもりだけれど、最後の最後で転倒して立木に思いっきり頭をぶつけてしまった。
もしもヘルメットをしていなければ、結構ヤバかったかも知れない。
それでも、午後3時10分には無事に登山口まで戻ってこられた。
苦労した割には滑りを楽しむ時間は僅かで、ちょっと残念な山行だった。
皆は2度めは無いなと言っていたけれど、頑張れば2時間で登れそうだし、天気が良ければ山頂からの景色も良さそうで、スノーモービルに荒らされていなければ滑りももっと楽しめて、リベンジに訪れてみたい気もする山である。