北海道キャンプ場見聞録
ビーナスの丘(2021/02/28)
天気さえ良ければ
I山ツアーズ主催の今週末の企画は「久しぶりにシャクナゲビーナスを滑ろう」。
それが意味するのは、シャクナゲ岳の隣のビーナスの丘から長沼に向かって滑り降りることである。
私は一度だけこの斜面を滑ったことがあるけれど、3月末だったのであまり良い雪ではなかった気がする。
それでも、ビーナスの丘から長沼に下りる斜面はハズレが無いと皆の評判は良かった。
広い駐車場も直ぐに車で一杯になる
チセヌプリスキー場駐車場への集合時間は午前8時。
途中の道は舗装も出ていて走りやすく、余裕を持って現地に到着。
天気も良くて、午前8時には駐車場もほぼ満車になっていた。
車さえ停められれば慌てることもなく、午前8時半に登り始める。
リフト乗り場の建物は雪で潰れそうだ
チセヌプリスキー場は現在はCATスキー専用のゲレンデとなっていて、登山者はその中には立ち入りできない。
ロープの張られた脇を登っていく。
CATスキーの料金は一人41500円。
最大12名まで、スキー場を貸切利用できるとの触れ込みになっている。
外国の富裕層目当てに営業しているのだろうけれど、コロナ禍の今シーズンはどれだけの利用者がいるのだろう。
排他的な運営をしているスキー場なので、早く潰れてくれた方が良いのにと意地の悪いことを考えてしまう。
ゲレンデ内は立入禁止なのでロープの外を登らなければならない
私達の後からも結構な人数の人たちが登ってきていた。
今回の参加者は9名。
かみさんは先頭グループと一緒に登っていて、私はお年寄りグループの中に混ざってゆっくりと登る。
どんどん追い越されていく
後ろから迫ってくるパーティーがいたので、先に行ってもらう。
FBで友だちになっているIさんが声をかけてくれて、それが某カヌークラブのパーティーであることを知った。
その中の一人が「朱太川を一緒に下りました」と言ってくれたけれど、全く思い出せない。
後ろから登ってくる人達に次々に道を譲っていると、気が付いた時には私達の後ろには誰もいなくなっていた。
チセヌプリが姿を現す
スキー場の斜面を登り終え、チセヌプリが間近に迫る大地へと出てきた。
ここからはチセヌプリの裾をかすめて、シャクナゲ岳の方へと向かう。
チセヌプリの前に広がる大地
シャクナゲ岳に向かう
その途中で、真っ白なウサギがチセヌプリの斜面を駆け上っていくのが見えた。
凄い速さである。
慌ててカメラを取り出してそちらの方向に向けたが、ファインダーを覗いても眩しすぎてそこにウサギの姿があるのかも分からないままにシャッターを切った。
矢印の先にウサギが写っていた
チセヌプリとシャクナゲ岳の間の鞍部を歩いていくと、次第にシャクナゲ岳やビーナスの丘の姿が迫ってくる。
真っ青な空と真っ白な山の姿、何度見ても印象的な風景である。
そしてビーナスの丘も、その名の通りとても艶かしく見える。
この風景がたまらない、真ん中がビーナスの丘
ニセコは昨日から風が強かったようで、これまでに積もった雪は殆どが吹き飛ばされてしまったようだ。
その飛ばされた雪は、ビーナスの丘の東斜面に溜まっているはずである。
しかし、途中から見えるその東斜面はシュカブラらしきものも確認できて、あまり良い状態には見えない。
右側の山の斜面を滑ることになるが状態は悪そうだ
後ろを振り向くとチセヌプリが見える
私達は、ビーナスの丘をシャクナゲ岳側から回り込んで、目的とする斜面へ向かう。
私達を追い抜いていったパーティーらしい姿がシャクナゲ岳の中腹にあった。
斜面が急すぎるのか、それとも雪が硬いのか、殆どの人がスキーをザックに付けてツボ足で登っている。
私はシャクナゲ岳には3回登っているけれど、1回は途中で登るのを諦め,後の2回も苦労して山頂に立っていた。
その苦労が良く分かる。
シャクナゲ岳に登る人達
私達のパーティーには、苦労してそんなところまで登ろうと考えるような人は一人もいない。
少しでも楽をしてビーナスの丘の東斜面を早く滑ることしか考えていないのである。
ビーナスの丘を回り込むと、その先にもう一つの山がある。
その頂上まで登ると雪が悪いのは明らかなので、先頭のI山さんはその途中から滑るつもでいるらしい。
私は、より楽をすることしか考えないので、ビーナスの丘とその山の間のコルから滑りたかったが、皆が登っていくのでしょうがなくその後に付いていく。
この山の向こう側の斜面を滑ることになるのだが
結局、狙っていたその場所はシュカブラが酷くて滑るのは無理なので、もう少し下がった場所から滑ることとなる。
その付近は風当たりが強くて吹き飛ばされそうなので、私とかみさんはコルまで滑り降り「やっぱりここから滑れば良かった」と文句を言いながらシールを剥がした。
右がシャクナゲ岳、左がビーナスの丘、ここまで登ったけれどビーナスの丘のコルまで下りることに
そしてそれぞれが、少しでも雪の良さそうなところを探して、長沼に向かって滑り降りる。
I山さん達5名は、上の方から直接滑り始めた。
他のメンバーはコルの方から回り込む。
I山さん達が滑り降りた斜面
ノートラックの良い斜面を見つけて滑り降りるが、風で叩かれた雪は表面が硬くなっていて滑りづらい。
その硬さも場所によって違っているので、突然引っかかることもあり、慎重に滑る。
良さそうな雪に見えるけれど、表面がクラストしている
かみさんは、雪質とは関係なく少しでも斜度の緩いところを探して滑っていた。
雪が柔らかくなったのは、かなり下まで降りてきてからである。
I山さんたちが滑った斜面も同じようなものだったらしい。
かみさんは緩い斜面を探しながら滑っていた
時間はまだ午前11時。
雪は良くないけれど、もう1本登り返すことになる。
ビーナスの丘寄りの斜面が良さそうに見えたので、私を含めた6名はそちら側に登り返し、I山さん達3名はもう一度同じ斜面を登り返す。
かみさんは50mくらい登ったところで「私はここから滑るわ」と言ってシールを剥がし始めた。
ここから長沼(白く見えている部分)に向かって滑ることにした
さすがにそこからでは滑る距離が短すぎるので、私はもう少し上まで登る。
しかし、良さそうに見えた斜面も雪はやっぱりウィンドパック気味である。
滑りが楽しめないのであれば、わざわざ苦労して登る価値はない。
100mほど登ったところで私も止めることにした。
少しでも楽をしたいタイプのウッチーも私に同調し、他のメンバーは更に50mほど登っていく。
残り3人は更に上まで登っていく
シュプールの刻まれていない斜面を滑ろうと思っていたら、上から大人数のパーティーが滑り降りてきて、あっという間に斜面はシュプールだらけになってしまった。
それでも、1本目より少しは楽しめた気がする。
ウッチーの滑り
途中で止まって皆の写真を写す。
そのまま長沼まで滑り降りる人もいたけれど、お帰りコースに戻るためにはまた登り返さなければならない。
少しでも楽をするのがモットーの私は、ここでシールを貼ることにした。
1本目に転倒して自慢の竹竿を紛失してしまった少佐は、しょうがなくストックで滑る
I山さん達が滑っている斜面も見えるので、そこからカメラを向けていると、カメラのファインダーの中でI山さんが派手に転倒していた。
表面の固まった雪に突っ込んでしまったようだ。
これがあるので、こんな雪質の時は思いっきり滑れないのである。
派手に転倒したI山さん
そして、チセヌプリとシャクナゲ岳のコルまで登り返す。
長沼まで滑り降りるよりも標高差30m分は楽をできた。
長沼の向こうには岩内の街が見える
下から登ってきたかみさんとコルで合流。
そこで他のメンバーが登ってくるのを待つ。
午前中は強かった風も、その頃にはピタリと止んでいた。
日差しも強くて暑いくらいだ。
今日は日中の気温もかなり高くなる予報になっていて、標高900mのこの辺りでも気温はプラスになっていそうだ。
シャクナゲ岳やビーナスの丘をバックに記念撮影してから、駐車場を目指して滑り降りる。
皆で記念撮影
そこから下の雪は溶け始めていて、ストップ雪に変わっていた。
油断して滑っていると突然スキーが止まってつんのめりそうになる。
痛めている膝に更に負担がかかり、駐車場がとても遠く感じた。
この辺りの雪は融けてきていて、スキーが止まってしまう
雪には恵まれなかったけれど、これだけの晴天に恵まれれば不満は全く無い。
明日から3月。
3月の気温は平年より高くなるとの予報も出ていて、パウダーシーズンもそろそろ終わりに近づいているようだ。