北海道キャンプ場見聞録
手稲ネオパラ(2018/02/16)
朝活パウダー
十勝遠征から帰ってきた後、パッとしない天気が続き、外に走りにも出られない。
でも、日中でも平昌オリンピックのライブ中継をやっているので、退屈することはない。
退屈はしなくても、心はあまり穏やかではなかった。
4月からは少し働かなくては駄目かなと考えているので、平日に自由に過ごせるのも後僅かだ。
そんな貴重な時間を、家の中でゴロゴロしながら費やしてしまうのは勿体なさすぎるのである。
少しくらい天気が悪くても良いから山に出かけようと思って、我が家から近い手稲ネオパラに登ることにした。
自宅から15分程度で登山口に着いてしまう、お手軽な山である。
西風の時は雪雲が手稲山などに遮られるので、札幌市内では晴れ間が広がることが多い。
それはある程度予想していたが、上空に広がる青空は予想以上だった。
除雪終点には車が1台停まっているだけである。
先に登っているのは一人だけみたいだが、昨日までのトレースがしっかりと残っていた。
天気が悪かった割には、雪はあまり降っていなかったみたいだ。
午前8時ちょうどに登り始める。
手稲ネオパラに初めて登ったのは6年前で、今日はそれ以来となる。
自分のホームページでその時の記録を読み返すと、倒木が多くて苦労したようなことが書かれていた。
それが今回は倒木もほとんど気にならない。
その時よりも雪が多いのか、倒木が片付けられたのか、どちらかなのだろう。
二人で山に登る時は、他のメンバーに合わせる必要が無いので、かみさんは自分のペースで登っていく。
私が写真を撮るのに立ち止まっていると、あっという間に先に行ってしまうので、慌てて後を追いかける。
木の枝に乗っている雪が小さな塊になって、まるで繭玉のように見える。
幌加内の坊主山に登った時は、頭上の木の枝から大きな雪の塊が落ちてきそうで、冷や冷やしながらその下を歩いていたが、ここの雪玉なら当たっても大したことはなさそうだ。
8時半頃に男性が一人、滑り降りてきた。
停めてあった車の持ち主のようだ。
この時間に降りてくるとは、一体何時に登り始めたのだろう。
ここならば、出勤前の朝活として登ることができるのかもしれない。
途中から私が前を歩かされる。
後ろを歩いているとどんどん遅れてしまうので、無理やり前に出された感じである。
最近は暫く走っていなかったので、私も今日はトレーニング代わりに登るつもりでいた。
少々汗をかこうが、息切れしようが、お構いなしにペースを上げて登っていく。
第三斜面が近づくと、トレースの角度も急になっていく。
私がスリップせずに登れるぎりぎりの傾斜である。
かなりの健脚の方が登ったトレースみたいだ。
後ろを振り返ると、札幌中心部の街並みが見えていた。
第三斜面を登ってきた
第三斜面を過ぎ、トラバース気味に森の中を登っていく。
そのまま行けば第二斜面のオープンバーンに出るはずだが、トレースは手前の森をそのまま登って尾根の上へと出ていた。
どのラインを滑ろうかとオープンバーンを眺めながら登るのも良いが、森の中のルートの方が楽に登れた気がする。
尾根の上に出てくると、ダケカンバが大きく枝を広げ、ところどころにエゾマツが高く聳える、美しい風景が広がっていた。
急な登りを終えて一息付きたいところだったが、どうせならば登頂の最短記録を作りたかったので、そのまま一気に山頂を目指す。
途中で、風格のあるダケカンバの古木に目を惹かれる。
そのダケカンバの上でトドマツが育っていたのには驚かされた。
小さな幼木が育つのなら分かるけれど、既に結構な大きさに育っているのだ。
最後の第一斜面の横を登って、広々とした手稲ネオパラの山頂に到着。
北海道雪山ガイドのコースタイムは3時間だけれど1時間40分で登ってこられた。
でも、ヤマレコで調べると、早い人は1時間ちょっとで登っているみたいだ。
それこそ、走りながら登らないと、そんな時間では登れそうにない。
上空の空は真っ青だけれど、周りの展望はあまりパッとしない。
手稲山も、札幌市内も、少し霞んで見えている。
空を見上げると、そこに小さな雪の粒が舞っていた。
これが風景を霞ませている原因なのだろう。
今日は軽食の用意もしていなかったので、暖かな飲み物を一口飲んで直ぐに滑り降りる。
山頂からは樹木が邪魔で市内の風景があまり見えないが、第一斜面の上に出てくると札樽道が真ん中を貫く市街地西北部の風景が斜面の向こうに広がっていた。
その第一斜面は、トラックや樹木から落ちてきた雪でデコボコである。
それでも滑ってみると、雪が柔らかいのでなかなか気持ち良くターンできる。
第一斜面からトラバース気味に滑り降りると、広々とした第二斜面の上に出てくる。
こちらの方はトラックも少なく、見るからに気持ち良く滑れそうである。
調子込んで滑り降り過ぎると、帰りに苦労することになるが、途中から森の中へと入っていくトラックもはっきり見えているので、そこまでは思いっきり滑ることができる。
しかし、楽しい滑りはあっと言う間に終わってしまう。
その先からは、林間をトラバースし、第三斜面で数ターンした後は、ひたすら林間と林道を滑り降りるだけ。
ただ、無駄な登り返しが無いので一気に滑り降りることができる。
あっと言う間に車まで戻ってきて、時間はまだ10時45分。
朝活と言うにはちょっと時間が遅いが、お昼前に余裕をもって家まで帰ることができる。
10時から中継が始まっている平昌オリンピック男子フィギュアのショートプログラムにも間に合い、ゆっくりと日本人選手の応援ができるのである。