トップページ > 山登り > 雪山遊び

春香山(2014/1/7)

晴れたり曇ったりの山スキー初め


正月休みの最終日あたりに今シーズン最初の山スキーに出かけようと考えていた。
ところがその日は、前夜からの大雪が一旦は止んだものの、直ぐにまた降り始め、とても山に登るような天候ではなかった。
おまけに札幌市には大雪警報が発令されて、私はそのために職場待機となる有様である。
登山口駐車スペースでも、そのおかげで大威張りで休みが取れることとなり、その休みは勿論、天気の良さそうな日に狙いを定めて取ることにする。
そうして週間予報ではこの日にしかお日様マークが付いていない1月7日に、晴れて山スキーへと出かけることにしたのである。

出かけたのは3年ぶりの春香山。
我が家からは近いのだけれど、通勤ラッシュの渋滞に巻き込まれ、登山口に着いた時は9時近くになっていた。
除雪終点になっているゲート前には、3台くらい停められるスペースがあり、我が家が一番乗りだった。
直ぐにもう1台入ってきて、これが週末だったらかなり早く来ないと駐車スペースが無くなってしまいそうだ。
後からやってきた女性二人と元気なレトリバーに挨拶して、先に登り始める。

雪の解けた箇所もある林道前日に降った雪が新たに5センチ程積もっているが、スノーモービルの走った跡があるので、ラッセルの苦労はない。
1月始めでは、さすがに雪も少なく、笹の葉もまだ雪面に顔を出したままだ。
途中の林道も、水が流れている様な所では、雪も融けてしまっている。
銭函川に架かる橋を渡り、銭函峠川に沿って登っていく。
この辺りまでは傾斜も緩いが、林道が大きくカーブし、沢を離れて山腹に入っていくと、登る傾斜も急になってくる。

途中で夏の登山道と合流。
今日は私達が先頭で登っているのかと思ったが、その夏道を登ってきたらしいスキーの新しいトレースが有った。
以前、この辺りは一面のカラマツ林だったのだが、そのカラマツ林が所々で皆伐されていて、以前とは雰囲気がかなり変わっていた。
カラマツ林が伐採され見通しが利く木々の間を登る方が気持ちが良いのだが、伐採するために植えている人工林なのだから、これはしょうがないところだ。
でも、以前よりも見通しが利くようになったし、少しデコボコが多いけれど、帰りに滑り降りるのが楽しそうなゲレンデもできていて、伐採されて良いこともあるのだ。
登山道は途中から林道を離れ、その途中にも眺めの良いポイントができていた。

先行者のトレースは、途中で再び林道へと戻っていた。
そのまま登山道を進んでいった方が楽しいのだが、その先にはトレースが無く、そこをラッセルしながら登るほどの物好きではないので、私達も素直に林道に戻ることにした。
その林道を、大きなザックを背負った男性が滑り降りて行った。
今朝登り始めた人が早くも下りてきたのかと驚いたが、その荷物を見ると、多分山小屋に泊まっていた人なのだろう。


カラマツ林の中の登山道 ビューポイント
カラマツ林の中に続く登山道 以前はこんな場所は無かったはず

途中で休んでいた二人連れの男性を追い越した。
これで私達が先頭に出ることになる。
林道上には先程滑り降りてきた人のトレースが残っていたが、そこを歩くよりは、ほとんど消えかけているスノーモービルのトレースの方が歩きやすい。
土場からの眺めこの辺りでは10センチくらいの雪が積もっているが、その下が固いので、ラッセルするのに苦労はしない。

登り始めてから1時間30分で土場に到着。
そこからは、天気が良ければ石狩の海岸線やその向こうの山並みが美しく見えるのだが、今日は風で流れてくる雪雲に隠されて海岸線の一部が見えているだけだった。
私達の上空も、時々青空が広がるものの直ぐにまた雲に隠れてしまう。

土場から先は、いよいよ森の中の急な登りとなる。
一休みしてから出発しようとした時、途中で追い抜いてきた男性が登ってきて、ラッセルのお礼を言われた。
ラッセルと言える程の積雪でもなかったので、恐縮してしまう。
彼らはそこから滑り降りるとのこと。
急登 上まで登らずに、そこから引き返すというのも何だか勿体ない気もするが、手軽な冬の運動としてはちょうど良いコースかもしれない。

そこから先、スノーモービルのトレースこそ無くなったものの、スキーのトレースが消えずに残っていたので、かなり助けられた。
雪はかなり深く、もしもここを二人だけでラッセルしながら登るとしたら、途中でねを上げていたことだろう。
そこを登りきると傾斜も緩やかになり、ダケカンバやトドマツの生える美しい森の中へと入っていく。
太陽を隠していた雲も取れて、森の中に陽が射し込む。
真っ白な森が輝きを増して更に美しく見えてくる。
山頂に着くまでこの状態が続いて欲しいところだ。


森の中に日が射す 雪景色の森
森の中に日が射してきた こんな森の風景が好きだ

森を抜けて小高い丘の上へと出てきた。
ここでようやく春香山の全貌が見渡せるのだ。
山腹の木々は、全てが真っ白に雪化粧し、それが太陽の陽射しを受けて輝き、青空を背景に何とも美しい風景である。
そんな様子をカメラに収めていると、山の向うから湧き上がってきた雲が、青空を隠し、太陽の姿も消してしまう。
今日は本当に変わりやすい天気だ。


見晴らしの丘から見る春香山
見晴らしの丘から見える春香山の山頂

丘を一旦下り、森の中を進んでいくと、銀嶺荘が忽然と姿を現す。
雪に覆われた森の中で、この山小屋は本当に絵になる姿をしている。

山頂への急登が始まる銀嶺荘の前を通り過ぎ、小さな沢を渡ると、いよいよ山頂への急登が始まる。
「汗をかかない様に今日はゆっくりと登るぞ」とかみさんに言いくるめる。
するとかみさんは「馬車馬じゃなくて牛になったつもりで登れば良いのね」と答えた。

幸い、斜面に残っていたトレースは、比較的緩やかな傾斜で登っていた。
それでも時々スキーがスリップしてしまう場所もあって、体力が奪われる。
かみさんは、意識してゆっくりと登っていたらしいが、それでも私との間隔は徐々に開いていく。

途中の丘からも見えた通りに、斜面に生える木々は皆、分厚い雪の衣を羽織っていた。
モノトーンの世界空は雲に覆われ、雪がチラホラと舞ってくる。
完全なモノトーンの世界が広がる。

立ち止まってカメラを向けている間に、かみさんとの距離は更に開いてくる。
かみさんが牛ならば、私はカメの歩み程度だろう。

何時の間にか、私の後ろから女性が一人、登ってきていた。
ここまで登ってくる途中、私達の後に人の姿は見えていなかったので、山小屋に泊まっていた人なのだろうか。
しかし、私との間隔は見る見るうちに縮まってきて、そのスピードならば、私達の後から登り始めた人でもおかしくない様に思えてしまう。
かみさんもその女性の存在に気が付いたようで、何時もの速さで登り始めた。
私は道を譲ろうと思ったけれど、雪が深すぎて横に避けるのも大変で、頂上までもう少しだったので、スピードを上げて一気に山頂を目指した。


白いモンスター
雪の衣をまとったダケカンバ

そうして登り始めてから3時間10分ほどで山頂到着。
後から登ってきた女性に「ラッセルありがとうございました」とお礼を言われたが、かみさんにとってはこれくらいのラッセルの方が、少しは刺激になって良かったのかもしれない。
山頂に到着何せ、後になってから「ゆっくり登ったので全然疲れなかったわ、まだまだいくらでも登れた気がする」なんて言っていたくらいなのだ。

私達の登頂に合わせるように、山頂に陽が射してきた。
このまま一気に、上空を覆っていた雲が晴れてくるかもしれない。
そんな淡い期待を抱いたものの、一瞬だけ顔を出した太陽は直ぐにまた雲に隠れてしまう。
相変わらず、石狩の海岸線の一部は見えているけれど、それ以外は全て雲の中である。
西から流れてくる雲を春香山が遮ってくれているので、一部分だけ雲が途切れているのだろう。


山頂に日が射す 山頂からの風景
良いタイミングで日が射してきたが・・・ 山頂からの風景は雲に霞む

山頂で昼食それでも山頂を吹く風は弱く、雪を纏ったダケカンバの陰で昼を食べることにした。
その間に雲が晴れないかな〜と願っていたが、そんな気配は全くなし。

昼食を終える頃には再び雪も舞い始め、今回は山頂からの展望は諦めるしかなさそうだ。
駐車場で一緒になったレトリバーと女性二人のパーティーが登ってきたのと入れ違いで、私達は下山開始。

週末の登山者のトレースが僅かな起伏となって残っている程度の、真っ白な無垢の斜面を滑り降りる。
去年の暮れにニセコで深雪を滑る練習はしておいたけれど、ここの深雪はレベルが違った。
底なし沼の様に板が沈み込んで、まともにターンができないのだ。
かみさんの滑っている写真を撮ろうと途中で止まったのも良くなかったようで、こんな斜面を滑る時はケチケチしないで、下まで一気に滑り降りた方が楽しかったかもしれない。

深雪を滑り降りるその後は、山小屋の裏の沢と見晴らしの丘の2か所でちょっとした登り返しがある。
見晴らしの丘まで戻ってきたところでホッとして後ろを振り返ると、登って来た時と同じように、春香山の上には青空が広がっていた。
まあ、想定していた状況なのでそれ程ガッカリもしない。
今日は夜に向かって天気が下り坂の予報になっていたので、こんな日に青空一つで一喜一憂していてもしょうがないのだ。

土場まで下りてきて、後は車を停めてある場所まで一気に林道を下っていくだけである。
日中に気温が上がると、この林道滑りも結構疲れるのだが、今日は下までパウダースノー状態だったので、一気に気持ち良く滑り降りることができた。
途中の皆伐跡の急斜面も、デコボコの間を縫いながら滑ることができて、これからは下山途中にも一遊びすることができそうである。

シーズン最初の山スキーは、ちょっと微妙な天気だったけれど、まずは楽しく初滑りができたのである。

見晴らしの丘への登り返し 皆伐跡のスロープ
見晴らしの丘への登り返しがきつい 皆伐跡は楽しいスロープになりそうだ

駐車場 土場 銀嶺荘 春香山山頂

1:30

0:50 0:35
下り 1:00
距離:5.7km 標高差:778m

オオウバユリ
立ち枯れたオオウバユリ


戻る │ ページトップへ