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塩谷丸山(2012/12/28)

無風の山頂


朝日が眩しいシーズンインの初山スキーは我が家定番の塩谷丸山へ。
今シーズンは12月初めから雪が降り続き、既にどこの山も問題なく滑れる状況にあるはずだ。
それでもやっぱり、一番最初は手軽に登れそうな山を選んでしまう。

午前8時過ぎにJR塩谷駅の駐車場に到着。男性2人組が既に準備を終えて、出発するところだった。
私達もザックにスキーを取り付けて歩き始める。
雲間から朝の光が射してきたが、その光も雲に直ぐに遮られてしまう。

人家が途絶えた先の道路際に車を1〜2台停められそうなくらいに除雪された場所がある。
最初は、そこまで車で来ようと考えていたが、かみさんに反対されて塩谷駅の駐車場に車を停めたのである。
駐車場から登山口までおよそ20分。地元の人になるべく迷惑をかけないようにするためには、それくらいは我慢した方が良いのだろう。
その駐車スペースを過ぎたあたりからスキーを付けることにした。

静かに雪が舞う風は無く、弱い雪がフワフワと舞い続けている。
昼頃から天気が良くなるとの予報だったけれど、そんな天気予報を当てにする気にはならない。
今日はシーズン最初の足慣らしのつもりだったので、このまま雪が降り続けていても別に不満は無いのである。

最初の林道の分岐で、ちょっと迷いそうになった。
分岐を右へ行くのが正しいコースのはずなのに、そこには左へ行くトレースもはっきりと付いていたのだ。
「ここって右へ行くはずだよね?」
何度も登っている山なのに、そんなトレースが有ると何となく不安になってしまう。

静寂に包まれた森の中では、自分のスキーが雪を踏みしめる音しか聞こえない。
その単調な音に、野鳥のさえずりが変化をもたらす。
数日前の吹雪のせいで、森の木々は皆、真っ白な衣をまとっている。
半年ぶりの冬の森歩きが楽しくてしょうがない。
何か面白いものが無いか、きょろきょろと周りを見回しながら歩いていく。
何の変哲もない笹の葉さえ、何となく面白く感じてカメラを向けてしまう。


笹の葉
何か被写体は無いかな〜 笹の葉も美しく見える

森の中にも日が射してきた何時の間にか上空には青空も広がってきたようで、森の中にも太陽の光が射し込んできた。
スノーブリッジで小さな沢を渡る。

次第に傾斜がきつくなってくる。
先行者のトレースは、そこをジグザグに登っていた。
この辺りでは直登気味に登る人が多いので、そんなトレースはあまり見たことがない。
でも、急なところでは直ぐにスリップしてしまう私なので、この方が私にとってはありがたかった。

ところがそのトレースは、そのままどんどん斜面を登って行っている。
そろそろ、沢の源頭をトラバースして300m大地のエゾマツの林へ向かわなければならないはずだ。
その林らしきものが先に見えていたので、そこで先行者のトレースを外れることにした。
300m台地のエゾマツ林他にははっきりとしたトレースも見当たらないのでちょっと不安になる。変な思い込みでいつも失敗している私だけれど、今回はその選択が正しかったようだ。
無事に、見覚えのあるエゾマツ林の下へと出てくることができた。

その先は更に急な登りが待っている。
トレースもほとんど無いので、自分の判断でルートを決めなければならない。
何度も登っていて、迷うような場所でもないので、今回はGPSにもルートを登録していなかった。
しかし、先行者のトレースが無いと、本当にこのまま登っていいのか心配になってくる。
結局は無事に頂上までたどり着けたのだが、後で確認してみると、過去のルートとは結構離れた場所を登っていたみたいだ。

最後の急登早くも滑り降りてきた人と出会う。
随分早いので驚いたが、塩谷駅の駐車場で出会った人よりも先に登っていた人らしい。
「間違えて急な方に登ってしまって苦労しました」と言っていたので、私達が途中からトレースを外れたのは正解だったようだ。

樹林帯を抜けると頂上まで真っ白な斜面が続いている。
固い雪面の上に10センチ程の雪が積もっている。滑りやすそうなので、下りはここを滑り降りることにした。
そうして、駐車場を出てから2時間弱で塩谷丸山の山頂に到着。


樹林帯を抜ける 山頂への登り
樹林帯を抜け出る 山頂へ向かって最後の登り

気持ちの良い登り
この付近を滑り降りると気持ちよさそうだ

塩谷丸山山頂私達の先に登り始めた2人組が、ちょうど滑り降りるところだった。
登り始めた時間は10分ほどしか違わなかったので「もしかしたら途中で追い越すかな」なんて考えていたが、私達よりも早かったのかもしれない。

ちょうど良いタイミングで雲も取れて、余市の街並みもはっきりと見えている。
その先の積丹の山々は雲に隠れていたけれど、これだけの展望が楽しめれば文句は無い。
青空よりも、風が殆ど吹いてないことの方が嬉しかった。
これくらいの青空は何度か経験していたけど、これだけ風が無いのは初めての経験かも知れない。



塩谷丸山山頂の風景
塩谷丸山山頂の岩場と余市方向の眺め

快適に滑り下りる下りは何時も、登ってきたルートの右側、沢沿いの地形の中を滑っていた。
こちらの方が風が当たらずに雪の状態も良いのである。
でも今日は登って来た時に考えていた通り、左側の斜面を滑り下りた。
半年ぶりのスキー滑降でも、直ぐに感覚を取り戻せるものである。
こちらの方が傾斜も緩いので、私の技術にはちょうど良いところだ。

もう一度登り返して、今度は右の斜面にもチャレンジしようと思ったが、かみさんからあっさりと拒否されてしまう。
しょうがなく、そこから先は森の風景を眺めながらのんびりと滑り降りることにした。
正月飾りのまゆ玉の様に木々の枝先に残っている雪玉。枝から落ちそうになりながらも必死にその枝に絡みついている雪は、まるで白いヘビが枝に巻き付いているように見える。
オオカメノキのウサギのような冬芽は何時見ても可愛らしい。
ノリウツギのドライフラワーも、冬の森では定番のアクセントである。


白いヘビ? オオカメノキ冬芽
白いヘビが枝に巻き付く ウサギのようなオオカメノキの冬芽

人家の手前でスキーを外すそんな風景を楽しんでいるうちに登山口まで戻ってきた。
集落の近くまでは、そのまま車道を滑り降りる。
道路は圧雪になっているので、そのままJRの踏切まで滑っていくこともできるが、それはやめておいた方が良いだろう。
子どもが車道をスキーで滑っていたら、怒られることは間違いない。
良い大人がそれと同じことをしたらダメなのである。
何て言いながら、私自身一度踏切まで滑り降りたことがあった。
そこでスキーを外し終えたところに、ちょうどミニパトがやってきて、冷や汗をかいたものである。


木々の間を滑り降りる ノリウツギのドライフラワー
木々の間を滑り降りる ノリウツギのドライフラワーも冬の森の楽しみ

駐車場 登山口 300m台地 山頂
0:20 0:45 0:55
下り 0:50
距離:3.5km 標高差:580m

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