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信沙岳(2013/3/27)

行きはよいよい帰りはこわい


深川西ICで高速を下りて道道94号を目的地に向かっていくと次第に雪深くなってくる。
今年北海道で最も積雪が深くなった留萌市幌糠が近いので、それもうなずける。
駐車場所雪深いだけなら良いのだが、ICを下りた頃からちらついていた雪が次第に吹雪き模様になってくるのには気分が盛り上がらない。
それが、現地に着いた途端に雪が止んで、青空も一気に広がってくる。ただ、風は強い。

除雪の雪山が他より低くなっている場所を見つけ、路肩いっぱいに車を寄せて駐車する。
スコップで雪山に足場を作り、その上によじ登る。
固く締まった雪の上に15センチ程の新しい雪が積もっていた。
時期的にガリガリの堅雪になっているのを心配していたのだが、これなら問題なさそうだ。

初めて登る山なので、まずは尾根に取り付く場所を探さなければならない。
一気に尾根を登る初めての山の時はこのルートファインディングも楽しい作業である。
もっとも私の場合はGPSに頼りっきりなので、これをルートファインディングと言うのはちょっと恥ずかしい。

直ぐに適当な場所が見つかって尾根に取り付く。
そこから一気に高度を上げていく。
一息ついて後ろを振り返ると、既に道路は遥か下に見えていた。

他のトレースは全く無いが、同じ尾根の上をずーっと登っていくのでルートに迷うことはない。
気を使うのは下山時に登り返しがないようにすることだけだ。
最近はそれで苦労することが続いていたので、余計に慎重になるのである。

空はすっかり晴れ上がり、裸の木々が雪面に落とす影が何とも面白い。
こんな良い天気の時に雪山を登るのは本当に気持ちがよい。


眺めの良い場所も 尾根の様子
眺めの良い場所が所々に 尾根の上は概ねこんな風景

しばらくの間、ほとんど傾斜のない尾根を歩いた後、再び急な登りが始まる。
樹木も疎らで、帰りの滑りが楽しめそうな斜面である。
展望も一気に広がってきた。
この付近の山に登るのは初めてなので、見覚えのある山は何も無い。


真っ白な斜面 もう少しで登りきる
滑りが楽しめそうな斜面 もう少しで登りきる

展望が開けてきた
素晴らしい眺めが広がってきた

最後の急な登りが見えてきた前方にまた急な斜面が見えてきた。
地図を確認すると、そこが最後の急な登りのようである。
近付いていくと、ダケカンバの巨木が何本も大きく枝を広げて待ち構えていた。
その中を小さな人間が登っていく。
そんな風景に感動して、何度もカメラのシャッターを切る。
登るに従って更に展望が開ける。

ようやくその斜面の上に出てきた。
真っ白な雪原の先には台地状の地形が横に広がっている。
その斜面にスキーのトレースのような跡が沢山付けられていた。
そのトレースはスキーではなくてスノーモービルのものだった。
ここの斜面を何度も上り下りして遊んでいたのだろう。


ダケカンバの巨木の間を登る
ここの斜面を登るのが一番楽しかった

最後の壁を上がったところ スノーモービルの遊び場?
最後の急斜面を登ったところはこんな感じ 頂上台地への最後の登りはスノーモービルの遊び場?

大きすぎて手に負えないその辺りのダケカンバには、巨大な雪の塊が微妙なバランスを保って乗っかっている。
何時もはそんな塊を見つける度にストックで目や口を書いたりするのだが、さすがに巨大すぎて手に負えない。

台地の上に出てくると、そこにもう山は無かった。
樹木が疎らに生えた雪の平原。
そんな感じである。
そしてその雪原の遥か遠くに、樹木の生えていない白い丘が見えていた。
地図を確認すると、その辺りが信沙岳の山頂らしい。
その遠さに心が折れそうになったけれど、気合いを入れ直して歩き始める。

頂上台地気温も上がってきて、融けかけた雪がスキーにくっつき、足が鉛のように重たく感じる。
雪が付かないようにシール用のワックスを塗っておいたけれど、溶けかかった雪とサラサラの雪が混ざり合っているような状況なので、余計に雪が付着しやすいのだ。

歩けども歩けども、遠くに見えている丘は一向に近付いてこない気がする。
平らな場所を歩くのにこれだけ苦労するのは初めての経験だった。

それでもようやく、最後の丘の斜面までやって来た。
信沙岳は暑寒別岳の展望台とも言われている。
そこを登りきれば、その先に暑寒別の山並みが見えているはずである。
その光景だけを期待して、天気の良い日に仕事を休んでここまでやって来たのである。


頂上への最後の登り 暑寒別岳が見えてきた
この丘の先が信沙岳の頂上 暑寒別岳が徐々に姿を現す

そしてとうとう、目の前の雪山の先に暑寒別岳が次第に姿を現してきた。
上空は全て青空なのに、残念ながら暑寒別岳の山頂付近だけに雲がかかり、その全貌を目にすることは出来なかった。
白い山の稜線が紺碧の空にくっきりと見えていれば、どんなに素晴らしい眺めだったことだろう。
まあ、贅沢を言ってもきりがない。
今日はこの風景で満足することにしよう。


信沙岳山頂から眺める暑寒別岳
残念ながら暑寒別岳の山頂付近は雲に隠れていた

信沙岳標識木の枝にぶら下がった、木製の信沙岳の標識が何とも質素で味がある。
平らな山頂をぐるりと一回りして、周りの展望を楽しんだ。
留萌付近の海岸線が見えているけれど、そこから先は霞がかかってハッキリと見えない。
北東方向に広がる山々は、どの辺りが見えているのか全く分からない。
その中でも少し目立って見えていたのは、後から調べてみるとポロシリ山だったようだ。

風も強いので、風景を楽しんだ後は直ぐに滑り降りる。
登るのに30分かかった平らな場所も、下りは15分で歩く事が出来た。
山頂台地を滑り降りる1時間も経っていないのに、風が吹き抜けるところではトレースも消えかかっていた
ガスがかかって見通しが利かない時は、ここは歩かない方が良さそうだ。
台地の上まで上がってきても頂上がどの方向にあるかも分からないし、そもそもそんな時に、わざわざ信沙岳の山頂に立っても何の意味も無いのである。

スノーモービルが遊んでいた斜面で昼食にする。
そこは風も当たらず、春を感じる陽の光に照らされ、何とも心地良い一時である。
これで鳥のさえずりでも聞こえてくれば最高なのだが、登ってくる途中でも鳥の姿はほとんど見かけなかった。
ウサギやキツネの足跡も無く、生き物の気配の少ない山である。


消えてしまったトレース ここで昼食
登りのトレースは既に消えかかっていた 春の日射しを浴びながらの昼食

帰りは大変登ってくる時にはパウダーだった雪も、気温が上がって重たい湿り雪に変わってきていた。
その雪にスキーをとられて、頭から雪の中に突っ込んでしまう。
今シーズンで一番派手な転倒だった。

滑りを楽しみにしていたオープンバーンも、雪が重たくて全然上手に滑れない。
今シーズンはキロロやチセヌプリで滑りの練習もしたのに、雪が悪いとその成果が全然感じられない。
下るに従って更に雪は重くなり、樹木の多い斜面ではボーゲンで足を踏ん張りながら滑り降りるしかない。
前回のイチャンコッペ山の時もそうだったけれど、春山では登りよりも下りの方が体力の消耗が激しい気がする。

ヤナギが芽吹き、雪の上をクロカワゲラが歩いている。
登り始めた時は真冬の風景だったけれど、下まで降りてきた時には春の風景に変わっていた。


ダケカンバと記念撮影
ダケカンバと一緒に記念撮影

登り3:05 下り 1:25
距離:5.0km 標高差:666m

GPSトラック図

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