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イチャンコッペ山(2013/3/17)

久しぶりの青空


カヌークラブの仲間でチセヌプリへ行こうとの話しがあったが、2週連続でチセヌプリまで行く気もしないし、天気もそれ程期待できそうにないので、手軽に登れそうな支笏湖近くのイチャンコッペ山へ登ることにした。
国道453を支笏湖に向けて走っている時、私の車の前にも数台の車が走っていた。
駐車場「この時間帯にここを走っていると言うことは、多分同じ目的だろうな〜」と思っていたら、それらの車はオコタンペ湖への分岐手前の路肩に駐車した。
そこには既に沢山の車が停まっている。多分漁岳へ登る人達なのだろう。
私達はその横を通り過ぎて、ポロピナイへ下りていく手前の駐車場に車を停める。
そこでも既に登山準備をしている夫婦が一組。
時間はまだ8時前だったけれど、大体7時半がこの時期の山に登る人達の集合時間みたいだ。

ヘアピンカーブの一番奥から尾根に取り付く。
凍結した雪面に少し苦労させられたが、少し登ると雪も柔らかくなる。
ギリギリで直登できるような傾斜を、緩くジグを切りながら登っていく。
これくらいの傾斜が登るのにはちょうど良い。
樹木もそれほど混んでいなくて、好きなルートを選択できる。
登りやすい斜面一気に高度を稼いで、支笏湖畔を通る国道が何時の間にか眼下に見えていた。
長靴のツボ足で降りてくるソロの男性とすれ違った。
まだ時間も早いので、718mのピーク辺りまで登っただけなのだろうか。

森の中には沢山のトレースが有るけれど、ほとんどがスノーシューのもので、スキーのトレースは1組程度しか見当たらない。
トレースが無くても雪は締まっているので、好きなところを登ることができる。

ネットからダウンロードしてGPSに登録しておいたルートでは、一旦718mのピークまで登ってからイチャンコッペ山に向かっていた。
私達はどうするか迷ったけれど、帰りに余力があれば登ることにして、そのピークはトラバースしてかわすことにする。
トラバースルートはかなりの急斜面だったが、スノーシューのしっかりとしたトレースが有ったので助かった。
このトレースが無ければ、雪が固い時は滑落が怖くて足がすくんでしまいそうだ。
でも、その急斜面のおかげで、何も遮るもの無く、支笏湖と風不死岳や樽前山の姿を一望できる。


トラバースルート 支笏湖の眺め
急斜面をトラバース トラバース中に見える風不死岳

スノーシューによるトラバースルートは、途中から少し下っていた。
帰りのことを考えると、ここではせめて標高を変えずにトラバースしたいところだが、その先のコルと同じ高さの場所からトラバースを開始するのは、ルートを熟知している人でなければ難しいかもしれない。
密生したエゾマツそもそもスノーシューでは、多少の登り返しは大して気にもならないのだろう。

トラバースの最後はコルに向かって少し滑り降りる。
その先の614mポコは北側を巻いていく。
ここでも跡をたどっていたスノーシューのトレースは、少し下り気味に進んでいたと思ったら最後で急に登り始める。
そうして、背の低いエゾマツが密生している場所に入り込み、その中を縫うように進んでいく。
「本当にこれが正しいルートなの?」と文句を言いたくなるが、自分でも時々後から続く人が面喰うようなトレースを付けることもあるので、偉そうなことは言えない。

エゾマツの間をようやく抜けて、その次のポコも北側を巻く予定だったけれど、簡単にその上に出られそうだったので、ちょっと登ってみる。
尾根上からの恵庭岳の眺めまず最初に勇壮な恵庭岳の姿が目に飛び込んできた。
今回、一番楽しみにしていたのが、この風景だった。
国道を走っていてもその姿は見えるけれど、なるべく近くから恵庭岳の全体を眺めるには、この辺りがベストポジションなのである。

亀裂の入った雪庇に注意しながら、湖の方に近づいてみる。
最初の急斜面のトラバース中に眺めたよりももっと素晴らしい支笏湖の風景が足元に広がっていた。
左には紋別岳、中央には風不死岳とその後ろに樽前山、そうして右端に一際高くそびえる恵庭岳。
まさしく絶景である。


眼下に見える支笏湖
眼下に見える支笏湖

反射板の建つ785mピーク絶景が広がる尾根から滑り降りて、次に目指すのは頂上に四角い反射板が立つ785mのピークである。
この山の上に建つ四角い構造物が、以前から気になっていた。
ようやくその構造物を間近に見ることができるのだ。

ピーク付近には樹木が生えていなくて、さすがにそこの雪面は固くクラストしていた。
それでも、斜度もあまり急ではなかったので、大した苦労もせずにピークまで登ることができた。

樹木が生えていないので、眺めも素晴らしい。
恵庭岳の右には漁岳から空沼岳にかけての山の連なり、そして遥か遠くに札幌の街並みも微かに見える。
恵庭岳の左奥に見えているのは徳舜瞥山やホロホロ山あたりだろうか。


785mピークからのパノラマ
785mピークからのパノラマ

後ろを振り返ると、そこにようやくイチャンコッペ山の山頂が見えていた。
頂上付近がなだらかなその姿は、あまり魅力的なものではなかった。
反射板の建つピークの標高は785m、一方のイチャンコッペ山は828m。760mほどのコルまで一度下ってから、また登り返さなければならない。
イチャンコッペ山山頂山頂の北から東にかけては樹木に覆われているので、そこまで登っても新たな風景が楽しめることも無さそうだ。
そうは思ったけれど、せっかくここまで来たのだから、一応は頂上も踏んでおきたい。
コルまで滑り降りた後、山頂へむかって登っていく。

イチャンコッペ山の山頂は平らになっていてどこが山頂なのかはっきりしない。
GPSの山頂表示とほぼ重なる場所で、そこの樹木の枝に赤いテープが巻かれていたので、多分その辺りが山頂なのだろう。
登り始めてから2時間25分。
なんとも感動のない山頂到着だった。

でも、登っている途中で広がってきた雲も、その頃には完全になくなり、完全な青空に変わっていた。
予想通り、そこからは新たな展望は無かったが、千歳の市街地らしき場所が見えていた。
上空は晴れたけれど、薄い春霞がかかっているのか、その方向の風景はぼんやりと霞んでしまっていた。

その辺りで昼食にしたかったけれど、ガスストーブを忘れてきたのでお湯を沸かせない。
昼はカップ麺を食べる予定だったのである。


山頂から眺める恵庭岳
イチャンコッペ山山頂から眺める恵庭岳

山頂から眺める漁岳
イチャンコッペ山山頂から眺める漁岳

イチャンコッペ山の山頂 風不死岳と樽前山
山頂で一休み 風不死岳と樽前山

反射板と恵庭岳しょうがないので、そのまま滑り降りることにした。
反射板のピークまで登り返さなければならないので、シールは張ったままである。
そして、反射板ピークでもう一度、完全に晴れ渡った空の下での風景を楽しんだ後、シールを剥がして滑り降りる。

登る時にはパウダーに近かった雪も、その頃には気温も上がって重たい湿り雪に変わっていた。
滑りを楽しめそうな斜面も無かったので、スキーは下山のための手段としてしか考えないことにする。

途中で何組かのスノーシューのグループとすれ違ったが、皆から羨ましがられてしまう。
この山はスノーシューで登る人の方が多いのだろう。
でも、羨ましがられている本人は、それ程気楽には考えていなかった。
何と言っても、これから登り返しが何か所もあるのである。

シールを剥がしても、雪が解けて湿っているので、それ程滑らないのが幾らか幸いだった。
最初のポコはそれ程苦労することなく通過。
問題は二つのポコである。来る時は北側を巻いたけれど、南側にも薄くスキーのトレースが残っていたので、そのトレースに従うことにした。
上から雪庇が崩れてきそうな急斜面しかしそこはかなりの急斜面をトラバースすることになる。
途中には樹木の生えていない急斜面もあった。
そこは確か、亀裂の入った雪庇の下あたりである。
1人ずつ注意して、そこを横切る。
もっと気温が上がってきたならば、トラバースするのをためらってしまう様な斜面である。

614mのポコも南側をトラバースする。
そのまま718mピークとの間のコルに下りていけるかと思ったが、途中で急傾斜の場所があったので、そこを避けるため、尾根に一旦上がらなければならなかった。
そこからコルへ滑り降りて、またそこから登り返し。
次は718mピークへ続く斜面の大トラバースである。
このトラバースルートもまた微妙な上り坂で、体力を消耗する。

途中で休憩これならば、反射板のピークから滑り降りたところで、さっさとシールを装着すれば良かったと後悔する。
しかし、ここまで来て、今更シールを貼る気にもなれないので、そのまま苦労しながらトラバースを終えて、そこの森の中にへたり込んでしまった。
確かにこれならば、スノーシューで登る人が多いのもうなづける。
でも、登る時のルートさえ慎重に選んでいれば、下りはやっぱりスキーの方が楽なはずである。

小休止で体力も回復し、ザクザクに融けた雪面にスキーをとられながらも、国道まで降りてくることができた。
知らない間に季節は完全に春になっていたようである。


駐車場が見えてきた
やっと駐車場が見えるところまで下りてきた

登り2:25 下り 1:35
距離:3.9km 標高差:466m

GPSトラック図

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