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迷沢山(2013/1/5)

散歩気分で登ろう


比較的天気が良さそうな週末の土曜日、久しぶりに石狩北部の山にでも出かけようと思っていたが、朝の天気を見ると北部の方はまだ雪が降っているみたいだ。
どうしようか迷ったけれど、次の週には遠出を予定していたので、近場の山で済ませることにした。
そして向かったのが迷沢山。
上平沢林道コースならば、林道を3時間弱歩くだけで山頂についてしまう。散歩気分で登れる山だ。

路肩の雪山を歩くところが、登山口の車1台分の駐車スペースは既に先客に占領されていた。
しょうがなく、定山渓方向に400m程走った迷沢林道の入口部分に車を停めることにする。
こちらは広く除雪されていて、詰めれば車4台くらいは入りそうだ。
他の車はいなかったので、後から来る車の邪魔にならないように隅の方に車を停める。

そこからは、路肩の雪山の上をスキーを履いて本来の登山口まで歩いて行く。
そこまで余計な7分がかかることと、国際スキー場へ向かう車からジロジロ見られて恥ずかしいことを除けば、登山口に車を停められなくても大きな問題は無い。

林道に残るしっかりとしたトレース先客は5人程度のグループだったので、今日はラッセルの苦労も無く、本当に散歩気分で登れそうだ。
雪がチラチラと舞う中、林道を黙々と登っていく。
横を流れる上平沢の水音が、耳に心地良く聞こえてくる。

去年の暮れに雨が降り、その後も札幌周辺ではまとまった雪が降っていないので、私の好きな雪に覆われた森の風景が楽しめないかと思っていた。
でも、最近の寒波のおかげで、木々はそれなりに雪化粧して美しい表情を見せてくれている。

林道だけを登ると言うと味気ないものに思われそうだが、ここの林道沿いはほとんどが自然林のままなので、森の中を歩くのと大して違わないのだ。
太いニレや見上げるようなトドマツなど、退屈しないで歩く事ができる。


林道の風景 林道の風景
林道沿いにはこんな立派な樹木も 十分に雪深い風景である

林道の風景時々、先行しているグループの姿が遠くに見えたりするので、追いつかないように写真を撮りながらゆっくりと歩く。

最近のものと思われるスノーシューのトレースも、薄く雪を被った状態で残っているので、先行グループもラッセルの苦労は無いはずである。
たとえラッセルが必要だったとしても、5人もいれば順番に先頭を交代できるので負担は少ない。
我が家の様に何時も二人で登っていると、雪が深い時はお手上げなのである。

1時間程歩いたところで、林道は上平沢から離れ、大きく蛇行しながら山の上へと登り始める。
北海道雪山ガイドでは、ここから林道をショートカットして登るようになっているが、先行グループはそのまま林道を登り続けていた。
ラッセルしながらショートカットするより、このまま林道のトレースの中を歩いた方が楽そうなので、私達も後に続くことにする。


散り残った枯葉
こんな冬の風景も楽しい

途中で先行グループが休憩していて、とうとう追いついてしまった。
ここを登るくらいなので、多分おじさんおばさんグループだろうと想像していたが、やや年配の人も混ざっているものの意外と若者が多かったので驚いてしまう。
スキーのトレースだけになってしまった挨拶をして、そのまま先を進むことにした。
スノーシューのトレースの主は一人で登っていたようで、デコボコである。それでも、ラッセルするよりはずっとましである。

登るに従って次第に太陽の日射しも当たるようになってきた。
光が当たると真っ白な風景に陰影が加わり更に美しくなる。
突然、スノーシューのトレースが消えてしまった。
何故か途中で引き返してしまったようである。
それでもまだ、スキーのトレースが残っていた。このトレースの主も単独らしい。


雪面の陰影 雪面の陰影
太陽の光が雪面に変化を付ける チラチラと舞う雪も風景の一つだ

送電線の下の急な登り送電線下の急な坂を登り切ると、後は山頂まで緩やかな林道が大きくカーブしながら続いている。
ここもショートカットしたいところだけれど、スキーのトレースは相変わらず充実に林道上を辿っていた。
山頂が見えていれば真っ直ぐにそこを目指す気にもなるのだが、周辺は平坦な地形が広がっているので、林道を歩いていても山頂はなかなか見えてこない。

ガツガツ登るような山でもないので、ここではもう完全に散歩気分で歩いていた。
雪深い森。
どのようにしてそんな形が出来上がったのか、コケシのような雪のオブジェ。
雪の上に残る真新しい足跡は、エゾリスだろうか。足跡が続いていた先の樹木を見上げるが、足跡の主の姿は見当たらない。
冬の森では、直前に付けられたような動物達の足跡を何度も目にしているが、雪の上を歩くその姿をまだ一度も見たことが無いのが残念である。


雪上散歩 雪のコケシ
散歩気分で雪景色の林道を歩く 雪のコケシに挨拶

山頂への最後の登りそしてようやく小高い丘のように見える迷沢山山頂が見えてきた。
その手前の尾根の上まで戻ると、真新しいスキーの跡が付いていた。
反対側の平和の滝から登ってきた人なのだろう。

登り始めてから2時間半で山頂に到着。
これまでほとんど風を感じなかったのに、さすがに山頂部分は風がまともに吹き付けていた。
その風に運ばれるように雲が流れてきて、周りの山は霞んで全然見えない。
手稲山だけが、やや霞んでいるものの、その荒々しい姿をしっかりと見せてくれていた。

先に登っていた単独の男性と入れ替わりに、今度は女性が一人で登ってきた。
手稲山の裏側が間近に見える彼女も平和の滝から登ってきたそうで、2時間半かかったとのこと。「トレースがあったから」と言ってはいたけど、雪山ガイドでのそのコースのタイムは4時間20分である。
我が家が2年前に平和の滝から登った時は3時間登ったところで引き返していたが、山頂まではまだかなり距離があった。
そこを2時間半で登るのだから大したものである。

風も強くて展望も楽しめないので、山頂に長居はせず、写真を適当に撮ってから下山開始。
しばらくは平らな場所を歩くことになりそうなので、シールは付けたままで滑り降りる。
かみさんはそのシールが何処かに引っ掛かったのか、前のめりに派手に転倒してしまった。


迷沢山山頂からの展望
何時もとは反対側から手稲山を眺める

迷沢山山頂 転倒
反対側の山の姿は見えない 転倒をシールのせいにするかみさん

雪深い森の中途中で追い抜いてきたグループが、山頂への最後の登りにさしかかっているのとすれ違う。
彼らは送電線から先の林道をショートカットしてきたようである。

私達も帰りは林道を離れて森の中を歩くことにした。
幹や枝にたっぷりと雪をまとったダケカンバや、すらりと伸びたエゾマツなど、楽しい風景が広がる。
森の中では風も弱まったので、そこで昼を食べることにする。
気温はかなり低いけれど、風が無くて太陽の陽射しがあれば、寒さは感じない。
それに、熱々のラーメンが体を温めてくれる。

昼食を済ませた後は、シールを剥がして林道を滑り降りる。
送電線下の刈跡で少しだけ滑りを楽しめる他は、登山口までただひたすら林道を滑るだけである。
でも、ほとんど登り返しのない林道なので、苦労しないで下山できるのが大変ありがたい。
天気も次第に下り坂の様子なので、山の余韻に浸ることもなく、一気に登山口まで滑り降りた。
そしてまた、車を停めた場所まで戻るのに、スキー場へと行き来するドライバーの注目を浴びるこことなるのである。

雪に包まれたダケカンバ 見上げるようなエゾマツ
白い森の中で昼食
白い森は美しい

迷沢林道入口 上平沢川別れ 送電線斜面上 山頂
1:05 0:45 0:40
下り 0:55
距離:5.5km 標高差:596m

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