週末は天気も悪そうなので、大滝村の円山洞窟で「にょろにょろ」でも見てこよう。
そんな計画で札幌を出発したところ、千歳を過ぎる辺りから、一冬に数回しか見られないような素晴らしい青空が広がってきた。
こんな時に洞窟の中にもぐってにょろにょろなんか見ている場合ではない。
念のためにスキー板も車に積んであったので、直ぐに次の計画に変更、同じ大滝村の徳舜瞥山に登ることにする。
しかし、家を出たのは7時40分過ぎ、山に登るのならもう少し早く家を出るべきだった。
今時期はまだ日も短いので、安全のためには時間に余裕を持って行動した方が良いし、私はせっかちな性格なので、こんな条件の良い時はなおさら、他の人より早く行動しないと気がすまないのである。
途中の樽前山の登山口では、既に沢山の車が停まっていて、山登りの準備をしている。そんな様子を見ると、余計に焦ってくる。
大滝村の市街地についてもまだ気が急いているので、地図も確かめずに車を走らせていたら、案の定道に迷ってしまった。
適当に見当を付けて走っていくと、登山の準備をしているグループを見つけたが、以前に我が家が登り始めた場所とは明らかに様子が違っている。
地図を開きながら、その中の一人に「ここってどの辺になるんでしょう?」って聞いてみると、「あなた方もにょろにょろを見に来たのですか?」との答えが返ってきた。
何のことは無い、迷った挙句ににょろにょろ見学地まで来てしまったのである。
ようやく現在地を把握できたので、今度はしっかりと地図を確認しながら登山口へと向かう。
既に時間は10時近くになっていた。
「もう車を停める場所も無いんじゃ・・・」と思いながら現地までやってくると、予想に反してそこには1台の車も見当たらなかった。
「こんなに良い天気なのに、何で誰もいないの?」と驚いていたら、道の真ん中で丸くなって寝ていた白い大型犬を危うく轢いてしまいそうになる。
かなりの老犬のようで、ようやく私達に気がついて、のっそりと起き上がってきた。
この犬に会えるのも、我が家が徳舜瞥山を登るときの楽しみの一つになっている。
10時10分スタート。
真っ白な雪原にはウサギの足跡が付いているだけだ。
そこに新たに自分達のトレースを描くのは何とも気持ちが良い。
10センチ程積もった新雪の下は硬く締まっているので、ラッセルも苦にならない。
快調に登っていくと、誰かが滑り降りてきた跡を見つけた。
真新しいシュプールなので、早朝に登った人がもう降りてきたのだろうかと驚いたが、良く見るとその上にかすかな雪が積もっていて、それが昨日の登山者のものだと分かる。
一点の曇りも無かった青空に、いつの間にか低い場所に雲がかかり始めていた。
私が焦っていたもう一つの理由がこれである。
朝に確認したひまわりの衛星画像では日本海から雲が進んできていたので、こんなに素晴らしい青空が何時までも続くはずは無いのである。
我が家が冬山に登る時、曇り空が晴れてくることは殆ど無くても、青空が途中で曇ってしまうのは毎度のことだった。
雲に隠されないうちにと、慌てて正面に見えている徳舜瞥山山頂の姿をカメラで撮影する。
前回登った時も、同じようにして山頂の写真を撮ったけれど、その時は本当にそれが最後に見る山頂の姿となってしまったのだ。
登ってきた後ろを振り返ると、低い山の連なりの稜線越しに真っ白な山頂がちょこっと頭を出しているのが見えた。
羊蹄山である。
更に高度を上げていくとその手前にもう一つ小さな山が見えてきた。こちらは尻別岳。
二つの山がこの様に重なり合って見える光景は初めて目にするもので、見慣れた山なのにとても新鮮に感じられる。
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