2月も末に入ってようやく天候が安定してきたようで、三日前の小喜茂別岳へ出かけた日のように、日曜日は朝から素晴らしい青空が広がっていた。おまけに夜の間に雪も少し降ったようで、これならば山の風景も青空に一層映えそうだ。
今回出かける山は、当別の奥にある察来山である。その付近の山では青山農場キャンプ場から見えるピンネシリや神居尻山の名前を知っている程度で、北海道雪山ガイドを読まなければ全く知ることさえ無いような山である。ネットで検索しても僅かな情報しか載っていない。
自宅から近い初心者向けの山は大体登ってしまったので、ちょっと違った山へ足を伸ばしてみようと考え、察来山に目を向けたのだ。
当別の街から、道民の森へ向かう道道28号に入った。道民の森は冬季間は休園となっていて、その付近に住んでいる人も居ないので、すれ違う車は殆ど無い。
道道が浜益と新十津川を結ぶ国道451号へ合流する近くまで走ってくると、正面になだらかな稜線の当別丸山見えてきた。この山も今回の候補になっていたけれど、標高が500mと低く、登り時間も雪山ガイドで2時間となっていたので、物足りなさを感じて、標高560m、登り時間2時間半の察来山の方を選んだのである。
道路の分岐を滝川方向へ曲がって約3km進むと、林道入り口部が除雪されていて車を停められるスペースがある。
タイヤショベルで雪を奥まで押し込んだ跡が付いていて、奥行きはあるものの、その幅は1.5車線程度しかない。つまり、我が家の車を停めてしまえば他の車はもう停められないと言うことである。
しょうがないので、除雪車がもう一度入ってきた時の邪魔にならないように、奥の方の端ギリギリに車を寄せて駐車した。除雪車ならばその横を通ることができるだろう。
そうして準備をしていると、軽自動車の男性二人連れがそこに入ってきた。これ以上停めるスペースは無いしどうしようと思っていたら、その男性はスコップを取り出して自分の車を停める場所の雪かきを始めた。
冬の間に車を停めておける場所を確保するには、それくらいのことをしなければならないのだと感心してしまう。
準備を整えて出発。この付近では15cmほどの新雪が積もっていて、その雪に覆われた真っ白な森の風景と真っ青な青空のコントラストが息を呑むような美しさだ。
数日前に気温が上った雨模様の日があって、以前の雪面は硬くしまっている。その上に新たに積もったフワフワのパウダースノーはとても軽くて、ラッセルの苦労も殆ど感じない。
しばらく川沿いの林道を歩かなければならないのだけれど、美しい雪景色が広がり、歩いているだけで楽しくなってくる。スノーシューで森の中を散歩しているのと同じ気分である。
唯一気になるのが、その林道には緩やかなアップダウンの勾配があるので、帰りにここを歩く時は疲れそうだな〜と言うことだった。
歩いている途中で、幹がとても太いのに途中から突然細い枝だけになる不思議な木を見つけた。風で折れた木が再生したのだろうが、なかなかユニークな表情である。
軽やかな水の音が聞こえてきた。川の方を見てみると砂防ダムからカーテンのように水が流れ落ちている。周りはまだ氷に覆われているけれど、その水音の中に確かな春を感じることができた。
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