6週連続で天気に見放されてしまうと、こちらから天気に合わせるしかない。以前からそんなことは考えていたのだけれど、なかなか休みを取れそうな日と天気の良い日が重なってくれない。そもそも空気の澄んだ快晴の日というのが、札幌付近では殆ど無かったような気がする。
そしてようやく、空気が澄んでいるかどうかは別にして、天気の良い日に休みを取ることができた。
今回の目的地は小喜茂別岳、雪山ガイドの難易度では45点が付けられている初心者向きの山である。国道230号線の中山峠を喜茂別側に少し下ったところにその登り口がある。そこからは喜茂別岳へ登るルートもあり、こちらは雪山ガイドでは60点の中級者向けの山となっている。
登る時間も30分程度しか違わないので、そろそろ中級レベルの山にも登ってみたい気もしたが、「ダメダメ、今シーズンは50点以下の初級者向けの山にしか登らないのよ」とかみさんに止められてしまった。
確かに、初級者向けの山でも毎回四苦八苦して登っているのだから、今シーズンはじっくりと山スキーの経験を重ねるのと体力づくりに専念していた方が良いのは確かである。
通勤ラッシュで混雑する札幌市内を抜けて現地に到着したのが9時、国道沿いに広めに除雪されたスペースがあり、そこに車を停める。ドアを開けて外に出ると、春を感じさせるような陽射しのせいか、全然寒さを感じない。
今日は最初からジャケットを脱いで登ることにした。
昨日の日中、札幌市内では10cmほどの雪が新たに降り積もり、山の中ならば樹木が雪に覆われて真っ白な風景に変わっているだろうと期待していたのに、この付近ではそんな雪が降ったような形跡は全く無かった。
5日前の土曜日に小喜茂別岳を登った話しをネットで見たとかみさんが言っていたけれど、そのようなトレースは何処にも見当たらない。
昨日では無さそうだけれど、最近になって雪が積もったことは確かである。
ラッセルしなければならないのは辛いけれど、初めての山で自分でルートを考えながら登ると言う行為は結構楽しい。
雪山ガイドには大岩の横の小さな沢から登り始めると書いてあった。
駐車場から50mほど先の道路際にそれらしい岩が見えていたのでまずはそこまで行ってみる。
そこからは、送電線の下で樹木が刈り払われた斜面が広がっていた。
確かに小さな沢が流れていたけれど、かなり深さがあって水面も覗いている。かろうじて雪に覆われ渡れそうなところがあったので、そこから斜面に取り付いた。
その真っ白な斜面は、雪の下に何が隠れているのか知らないが、やたらに起伏が多い。
そのまま一気に鉄塔の立っている斜面の上まで登ってしまうか、それとも右側の沢のようになっているところを進むか。
ちょっと迷ったけれど、ずっと先までルートを見通せる沢地形の方を登ることにした。
ラッセルの深さは20cm程だろうか。まだサラサラの粉雪だけれど、日中は気温も5℃くらいまで上るとの予報なので、帰りは重たい雪に変わってしまいそうだ。
上に行くにしたがって傾斜もきつくなってくる。
自分で一番楽に登れる角度でジグザグに進む。
変に急なトレースが付いているより、ラッセルしてでも自分の無理の無い斜度で登った方が体力の消耗が少ない。
それでも、太陽の陽射しに照らされて体がじっとりと汗ばんできた。Tシャツ1枚で登りたくなるような陽気である。
そこを登りきるとなだらかな尾根が続き、そしてその先に小喜茂別岳の山頂が姿が見えてきた。かみさんと先頭を交代する。
林間の風景を楽しみながらのんびりと歩く。スノーシューで歩いた方が面白そうな林だ。
木に絡みついたツルアジサイが冬枯れの花をまだ付けていた。樹肌がやたらに白くて滑々した、肌美人のシラカバも目を楽しませてくれる。
その尾根の右側が深い沢になっていて、帰りはそこを滑り降りるのが良いとのことである。地形図を見ながら、本当にこんなところが滑れるのだろうかと思っていたが、尾根の端まで行ってその沢を見下ろすと、樹木が殆ど無く最高に気持ちの良さそうな斜面が広がっていた。
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