週末に天気が良さそうだったら、とりあえず何処かの山へ登ってみよう。
そんな行動パターンになりつつある最近の私達夫婦だけれど、今週末土曜日も天気は下り坂に向かうものの午前中はまだ天気も持ちそうだったので山行を計画する。
金曜日が飲み会で帰りも遅くなってしまったので、近くで簡単に登れる山と言うことで考えた結果、3週間前に行ったばかりの塩谷丸山に再チャレンジすることにした。
前回は間違えて夏道の登山道を登ったものだから、1時間55分程度で登れるところを2時間40分もかかってしまい、おまけに下山時は密生した樹木の中で四苦八苦するような状態だった。
いくらかは山スキーにも慣れてきたので、北海道雪山ガイドの中でも最も優しいレベルの山になっている塩谷丸山にどれくらいで登れるか、試してみる良い機会である。
塩谷駅前の駐車場で若者グループがスキーの準備を整えていた。
駐車場所が狭いと言う話も聞いていたが、まずは車で登山口の様子を見に行くことにする。塩谷駅横の踏切を渡って、前回来た時とは逆の左の道路を真直ぐに除雪終点まで進んだ。
そこには車が2台くらいは置けそうなスペースがあったものの、直ぐ隣が民家なのでそこに停めるのは諦めて、来る途中に見つけたやや広めに除雪してあるところ場所まで戻って、そこに車を停めた。
準備をしていると、おばさん3人が乗った軽自動車がやって来て隣に停めさせて欲しいと頼まれる。
登り口のところに停めようとしたら、隣の民家の人からそこに停めるなと注意されたとのことである。
そのおばさん達とちょっと話しをして、と言うか、一方的に色々と質問されて、今年から山スキーを始めたばかりで前回は間違えて夏道から登ったことなどを話したら、「スキーで良くあそこを下りてこられたわね」と笑われた。そして、「山スキーを始めたばかりで奥さんと一緒に登るなんて凄いわね〜」と褒められた。
まことにパワフルなおばさん達である。現在の中高年登山ブームはこんなおばさん達によって作られているのだろう。
駅前の駐車場にいた若者グループが登っていったので、私達もその後に続いて登り始める。
登山口ではソロの中年男性が準備をしているところだった。手軽に登れるところ山だけあって、登山者も多いようである。
Y字路の手前で若者グループが地図を広げて進行方向を確認していた。私達は雪山ガイドで知っていたのでそのまま右側の道へと進んだ。
左側の道にも人の通った跡が付いているので、紛らわしい場所である。
そこから先は倒木が多いので、それを避けながら進まなければならない。
人の通った跡があるので良いけれど、それが無ければ進む道を探すのに時間が取られそうなところだ。
徐々に傾斜もきつくなってくる。そのまま先頭で登り続けるのは到底無理なので、途中で若者グループに先を譲り、その後から登ってきたおばさん3人連れに追い越されるまでしばらく休んでいた。
前回の迷沢山で懲りているので、決して無理をしないのである。
その後も、若いボーダーやソロのおじさんなどに次々と追い抜かれる。
これだけ大勢、先に人が登っていると、自分で登るルートを考える必要は全く無い。何も考えずに後に付いていくだけ。
自分でルートを考える楽しみは無いけれど、我が家のレベルではそんな偉そうな事も言えないのである。
たまたまインターネットでダウンロードした塩谷丸山のトラックデータをハンディGPSに登録してあったのだけれど、現在登っているルートはそのトラックデータからはかなり外れているのである。
もしも我が家だけで登っていたとしたら、そのデータを信じてもっと急な斜面に入り込んでしまったかもしれない。
汗をかかないように早めに上着を脱いで、軽装で登る。
小さな沢を渡った。雪が積もれば直ぐに埋もれてしまいそうな沢なのに、今年は雪が少ないものだからチョロチョロと水が流れているのも所々に見えている。
そこからもう少し登ったところで谷の上部を横切り隣の尾根へと渡った。
大きなトドマツの木の下でソロのボーダーが座り込んで休んでいた。
目が合ったので「こんにちは」と挨拶してその前を通り過ぎながら、「ふっふ、まだまだ若いな、山を登る時はゆっくりとマイペースで登らなければならんのだぞ」などと頭の中で考えていた。
そこからさらに傾斜が急になり、途中で立ち止まって休み人も多くなってきた。前を登る人が休んでいたら、私もそれに合わせて休んでしまうが、かみさんはサッサと追い越して登っていってしまう。
遅い人がいたら、その直ぐ後ろにくっついてカチャカチャと金具の音を立てながら登っている。まるで暴走族が遅い車の後ろで空ぶかししながら煽っているような状況である。
次第に樹木がまばらになってきた。風が強いので脱いでいたジャケットを再び着込む。
真っ白な雪原をトレースが真直ぐに伸びている。皆、そのトレースの中を黙々と登っているが、私にとってそのトレースはちょっと急すぎた。時々スキーがスリップしてしまうのである。そうなるとストックを付く腕にも力を入れなければならないし、一気に体力を消耗してしまう。
同じ斜度のところでも、かみさんはスリップしないで登れるようなので、スキーの長さも関係するのだろうか?
ゼ〜ゼ〜息をしながら休んでいると、ボーダーの若者に再び追い越されてしまった。ウサギとカメなら、やっぱりウサギの方が早いのである。
一直線のトレースを登るのを諦め、自分ひとりでジグザグに登ることにした。しかし、吹雪で締まった重たい雪の中をラッセルしなければならないので、どちらもハードなことに変わりは無い。
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