去年の暮れ、かみさん用の山スキーや靴一式を購入し、それにプラスしてモンベルのゴアテックスのジャケットも夫婦そろって購入。
随分羽振りが良いなと言われそうだが、現在着ているスキー用のジャケットは二人とも15年以上も前に買ったもので、クリーニングに出してもくすんだ汚れが全然落ちないような代物である。中綿がたっぷりと入っていて暖かいのだけれど、山スキーの様に汗を沢山かくようなアクティビティーには全く向いてないのである。
本格的に山スキーを始めようと考えているのだから、これくらいのささやかな贅沢は許してもらえるだろう。
ようやく山スキー用の装備が二人とも整って、今シーズン初めてチャレンジする山は塩谷丸山に決めた。
最近発行されたばかりの「北海道の雪山ガイド」では初級に位置づけられている山である。去年はニセコのチセヌプリやシャクナゲ岳にも登ったので、ちょっとここでは役不足かな〜なんて生意気なことを考え始めていた。
JR塩谷駅横の踏切を渡り塩谷丸山登山口の看板に従って車を走らせていくと、やがて除雪終点の登山口に到着。
インターネットで公開されている塩谷丸山のトラックデータを地形図の上に落として、それをプリントしたものを用意してきていたが、GPSも持っているし、今回は地図を確認する必要も無いだろうとザックの中に入れたまま、準備を整えて直ぐにスタートしてしまった。
ここでちょっとでも良いから一度地図を開いていれば良かったのに、と後になって後悔する事になるのである。
昨シーズンは、かみさんはゲレンデスキー用の装備しかなかったので、私がかみさんのスキーを背負い、かみさんはゲレンデ用のスキー靴のままスノーシューを履いて山に登っていた。
それが今回は、私は余計なものを背負わなくて良いし、かみさんはスノーシューよりも歩きやすいと、いたって快適である。
普通のスキー靴は歩くだけでも大変なのに、そこにスノーシューを履くのだから、昨シーズンはそれでよく文句も言わずに一緒に行動していたものである。
登山道には数日前にスノーシューで2、3名くらいが歩いたような跡が残っていた。
スノーシューのトレースは微妙に蛇行しているので、それにあわせて歩くのは面倒だが、ラッセルしなくて済むのだから文句は言えない。
林の中を通る登山道は徐々に傾斜が強くなってきて、早くも息切れがしてくる。
ところで、帰りはここをどうやって滑り降りるのだろうと言う単純な疑問が湧いてきた。
林の中に切り開かれた登山道は、幅が狭すぎてスキーで回転しながら降りることは無理である。
その真ん中に細いトレースがあり、その中ではボーゲンもできない。直滑降でそこを滑ればスピードがつきすぎて立ち木にぶつかるまで止まらなくなりそうだ。
外へ逃げようにも周りの樹木は密生していて、その中にはスキーでは入られない。
これまで我が家が山スキーで登ったのはチセヌプリとか朝里岳とか、途中までリフトで登ってそこから先は殆ど森林限界を過ぎたようなところばかりだった。樹木が邪魔で滑られないなんて想定外である。
まあ、降りるだけなら何とかなるだろうと、あまり深くは考えずに登り続ける。
途中で樹木がまばらになり下界が見渡せる場所に出てきた。塩谷の港や赤岩などが見下ろせる。今日は天気が悪くてあまり見通しは利かないものの、朝から雪が降っていたことを考えればこれだけ回復してくれれば御の字だ。
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