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空知川(2022/08/20)

増水の空知川

カヌークラブ8月例回の初日は人気のシーソラプチ川。
清水の実家から出てきたので集合時間の1時間半前には現地到着。
早々と到着していたガンちゃんと一緒に渡月橋の上から川を眺め、二人で震え上がった。

空知川国体コース
何時も見えている岩の殆どが隠れている国体コース


何時もは、渡月橋の落ち込みの真ん中の岩が見えているかどうかで水の多い少ないを判断するのだけれど、今日はその上流にあるパチンコ岩まで水没しかけているのだ。
私は、この水量の国体コースを下った経験はない。

空知川国体コース
一番の難所である渡月橋の落ち込み


早々と見学を決め込むガンちゃんを残して、私はシーソラプチ川の様子を見に行くことにした。
最近の北海道は雨が続いて、何処の川も茶色の濁流と化している。
そんな中でシーソラプチ川だけは、水量は多くても既に川の濁りは取れていた。
ただ、国体コースの手前で流れ込んでいるルウオマンソラプチ川はまだ濁流のままなので、空知川の水も濁らせているのだ。

空知川国体コース
2つの川の水の色が全然違う


これならシーソラプチ川を下って、国体コースの手前で上がるという選択肢もあるかなと思いながら、まずはトラウマの瀬を見てみる。
そして、そこに大きなログが入っているのを目にして、その選択肢も消え去ってしまった。

シーソラプチ川トラウマの瀬
トラウマの瀬を塞ぐ流木


近くのラフト屋さんに寄って話を聞いてみると、真っ直ぐに通り抜けられるのでラフトはそこを下っているらしい。
ちょっと驚いたけれど、少なくともクラブの例会で下れる状態ではないのは確かだ。

シーソラプチ川トラウマの瀬
下流から見ると通り抜けられるルートはありそうだ


結局、この日は空知川を下ることとなった。
国体コースの上からスタートする組と、国体コースの下からスタートする組に分かれ、私は勿論下組に入る。
今日の水量で渡月橋の下で沈すると、一気にそのまま下流まで流されることになる。
その辺を考慮してレスキュー体制を整え、上組が下ってくるのを待ち受ける。

空知川国体コース
渡月橋の下流側、沈すると一気に流されそうだ


これだけ水が多いと三段の瀬は落差も無くなって、難易度は低い。
三段の瀬を下り終えて、そこから順番に一人ずつ下ってくる。
最初に下ってきたのはI上さん。
渡月橋の落ち込みに右から入って、そこで巻かれて沈脱。

空知川の川下り
最初に下ってきたI上さん



次に下ってきたのはI垣さんのミニラフト。
I上さんと同じルートで入ったところ、強烈なエディに巻かれて出られなくなりそうだったが、何とか脱出。

空知川の川下り
右岸のエディに入ってしまったミニラフト


これは右側から入ると危ないということで、後続メンバーは皆、左側から入ることにして次々にクリア。
上組にカナディアンのT田さんが入っていたのにはビックリした。
落ち込みの手前の小さな落差でバランスを崩し舟が大きく傾いたが、何とか持ちこたえて落ち込みもクリアしたようだ。

空知川の川下り
落ち込みの手前でバランスを崩したT田さん


全員が下ったのを見届けてからスタート地点に向かう。
そこで、I上さんがカヤックを流してしまったことを知る。
レスキュー体制は整えていたけれど、ゴール地点で流れてくる舟を回収するような体制まではとれていなかったのかもしれない。
今日の水量ならば十分に考えられる事態だけれど、上組のメンバーならばそこまで心配することもないだろうとの油断もあった。
そもそも下組のメンバーには初心者も多く、そこまでのレスキュー体制を敷くのは難しいのである。

I上さんとのタンデムで、流されたカヤックを探しながら下ることになるのかなと思ったが、I上さんは下るのを諦めて車で探しに行くという。
そして完全に見学を決め込んだガンちゃんが先にゴール地点まで行って、カヤックが流れてこないか確認することになった。
もしもその先まで流れたとしたら、捜索範囲をかなやま湖まで広げなければならないのだ。

他にもカヤックを流してしまった人がいたけれど、幸いそのカヤックは対岸で確保されていた。
私の最初のミッションは、そのカヤックの持ち主を対岸まで送り届けること。
そんなドタバタの中で、川下り前のミーティングも、人数確認も、集合写真も撮らないまま川下りが始まった。

空知川の川下り
水量が多いと水にもパワーが有るのでそれに負けないように漕がなければならない


この区間の難所と言えば噴水の瀬とミニナイアガラくらいである。
しかし、これだけ水量が増えると、普段は穏やかな瀬が、えげつない波が逆巻く激流に変わっている。
沈脱者も出ているようだが、自分が沈しないように下るだけで精一杯で、周りのことなど構っていられない。

空知川の川下り
瀬の波も大きくなっている


途中で皆が岸に上がっていたので、何かあったのかなと思って私も一旦岸に付ける。
するとやっぱり、沈してカヤックを流してしまった人が出たみたいだ。
そのカヤックは対岸に流れ着いていたので、再び私の舟に乗せて送り届ける。
何だか、救助船の船長になった気分だ。

空知川の川下り
お客様を舟まで送り届ける


再び大きな波の立つ瀬が現れた。
その前の瀬よりも更に波が高くなっている。
途中で沈脱している舟も見えたが、構ってはいられない。

空知川の川下り
大きな波にカヌーが跳ね上げられる


ようやく岸に付けると、そこにはロープを伸ばしたNもとさんの姿が。
どうやら、そのロープでレスキューされたのはUタケさんの小学6年生の息子さんのようだ。
Uタケ親子は別々のパックラフトで下っていたのだけれど、これが今日の初沈である。

父はアメリカのコロラド辺りでパックラフトで川を下っていたような人だけれど、息子さんはまだ経験も浅い。
それでもここまで力強いパドリングを見せていた。

空知川の川下り
小学生とは思えない落ち着きっぷりだ


Nもとさんが突然、川の中へ向かって走り出した。
ウッチーが他の人のカヤックを牽引しながら下ってきたので、それをサポートするつもりらしい。
最近はクラブのレスキュアー要員として、頼りになる存在となっているNもとさんなのだ。

空知川の川下り
川の中を走って舟の確保に向かうNもとさん


Uタケジュニアのパックラフトは少し下流まで流されたので、再び私の舟に乗せようと思ったが、I垣さんのミニラフトの方が乗り心地が良さそうなので、そちらにお願いすることにした。

空知川の川下り
ミニラフトもレスキューに大活躍



体制を立て直して再び下り始める。
その先の小さな中洲に上陸して一休み。
ここでようやく全員が揃ったので点呼をとってみると29名もいることが判明。
これでは途中で一人くらい居なくなっても、誰も気づかないかもしれない。

空知川の川下り
点呼をとる


そこから暫く下ったところで、I上さんが流してしまったカヤックが発見された。
柳がチョボチョボと生える小さな中洲に引っかかっていたのである。

空知川の川下り
I上さんのカヤックを発見


そのカヤックをI垣さんのミニラフトに乗せて下っていくことにする。
ミニラフトはカナディアン以上に色々な使い道があるのだ。

空知川の川下り
ミニラフトでカヤック運搬(積んでいるのは他の人の小さなカヤック)


するとその先で、I上さんとガンちゃんが川原まで車で入ってきた。
今回下っている区間で、川の近くまで車で入れる場所は僅かしかないので、これはラッキーだった。
早速I上さんが川下りに復帰。
これで人数は30人丁度である。

空知川の川下り
丁度通りかかるタイミングでI上さんの車が入ってきた


噴水の瀬では右岸に全員が上陸して下見をする。
以前に下ったことがある左岸側から落ち込みに入ってくる流れには、見るからに恐ろしい倒木ストレーナーができている。
ただ、左岸をそのまま下っていけば噴水の瀬を回避することも可能である。

空知川の川下り
噴水の瀬の手前にできたストレーナー


右岸の護岸際にも新しい流れができていた。
最終的にはこれまでの噴水の瀬をそのまま下るか、右岸側の新しい流れを下るかの選択になった。
ただ、右岸側には横からの返し波が立っていて、その波に煽られると護岸ブロックにぶつかりそうなので、結局は全員が噴水の瀬を下ることとなる。

空知川の川下り
上流から見た噴水の瀬


増水して落差の小さくなった瀬は、途中の巨大な波の立つ瀬よりも難易度は低く、あっさりとクリアできた。
それでも何人かは噴水の瀬の餌食になっていたようである。


そこからちょっと下ったところでミニナイアガラが待ち構えている。
ここも事前に下見するのかと思っていたら、前を下っていたメンバーはそのまま瀬の中へと入っていく。
台風による大増水の後に新たに現れたこのミニナイアガラは、川幅一杯に落差の大きな滑り台のような岩盤が露出していて、そんな名前で呼ばれるようになっていた。
しかし下る度に上部が削られていって、今はナイアガラのイメージは無くなっている。

空知川の川下り
落差の小さくなったミニナイアガラ


私は途中で上陸するものだと思って右岸寄りを下っていたので、結果的にそのままチキンコースを下ることになってしまう。
今日は大きな波を何度も超えてきて波に対する恐怖心も薄れてきていたので、これはちょっと悔しい結果だった。

雨の予報が出ていたけれど、川下り中は雨に降られることもなく、増水した川を沈もしないで下ることができて、楽しい一日となったのである。
 

この日の動画へ 

(当日12:00空知川水位 福寿橋:364.98m)
北落合橋(堤防天端からの高さ):-4.84m 



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