北海道キャンプ場見聞録
釧路川(2020/10/09)
倒木は切ったら駄目?
川湯温泉での宿泊場所KKRかわゆを出て、釧路川の眺湖橋までやって来た時は既に午前8時半を過ぎていた。
今回の旅では釧路川源流部を久しぶりに弟子屈の街まで下るつもりでいた。
しかし、今日は釧路川を下った後にオンネトーのキャンプ場に泊まる予定なので、時間的には結構厳しかった。
キャンプ場に遅い時間に着いて、それからバタバタしてテントを張るのは好きじゃないので、なるべく余裕を持ってキャンプ場入りしたい。
結局今回も、何時もと同じく美留和橋までのショートコースを下ることにした。
今回の旅の計画考える時に一番の誤算だったのが、和琴半島の湖畔キャンプ場がコロナの関係で9月末でクローズしていたことだった。
ここに2泊すれば、川湯のホテルに泊まる必要も無かったし、余裕を持って釧路川を弟子屈まで下れていたのである。
美留和橋から見る釧路川
スタート地点にカヌーを下ろし、美留和橋に車を停めて弟子屈の摩周ハイヤーに電話したところ、美留和橋から眺湖橋までは定額運賃の3220円と言われる。
しょうがないのでそれでお願いしたけれど、かみさんから「そんなにかかるのなら歩いた方が良かったのに」と叱られる。
確かに、ここから眺湖橋までは6キロ程度で、早足で歩けば1時間程度である。
以前には走って車を回送したこともある。
最初から美留和橋までしか下らないつもりだったら、ランニングシューズを持ってきたはずだ。
まあ、歩くよりは貴重な時間を節約できるので、我慢して高いタクシー料金を払うことにした。
風が強くて波立つ屈斜路湖の湖面
湖面が凪いでいれば、少し湖上散歩を楽しんでから下り始めるつもりでいたが、風が強くて湖を漕ぐ気にもならず、出艇して直ぐに眺湖橋をくぐることにした。
私達の直ぐ前に、男女ペアがガイドさんと一緒にカナディアンで下り始めた。
眺湖橋をくぐって釧路川源流部へと入っていく
その後からインフレータブルカヤックのソロの女性が下っていく。
彼女は20年ぶりに釧路川を下るらしく、私達に「危険な場所はありませんか?」と聞いていたが、私達も今シーズン初めて下るので「そんなに危険な場所は無いはずですよ」と答えるしか無い。
この女性、眺湖橋を過ぎた少し下流で、岸から少し張り出した樹木の枝に引っ掛かっていきなりの沈。
これで倒木の多い源流部を下れるのかと心配になってくる。
川の中で倒木更新
私達が川を下り終えて日高町のHOAに行ってから、この女性について衝撃的な事実を知ることとなった。
何と彼女は、中年のオカマだったのである。
何故それが分かったかと言うと、美留和橋で彼女ともう一人の女性が2台の車でやって来て、彼女の車だけを置いて戻っていった。
そのもう一人の女性がカヌークラブのメンバーの娘さんで、たまたま私達夫婦のことも知っていて、お父さんに写真付きのLINEで「ヒデさん夫婦見たよ~」と送っていたらしい。
娘さんは彼女と知り合いで、釧路川の送迎を手伝っていたとのこと。
娘さんが何で中年のオカマと知り合いなのかまでは聞かなかったけれど、この二人は翌日に斜里岳に登り、下山途中に中年のオカマさんが疲れて動けなくなり、しょうがなく消防に連絡してレスキューされたというオマケまで付いていた。
川を下っている最中にはそんなことは知る由もなく、何度か追い越したり追い越されたりしながら、その度に笑顔で挨拶を交わしていたのである。
この倒木の先に鏡の間があった
右や左から張り出した倒木を次々に交わしていくと、いきなり鏡の間に到着した。
少し前にSUPで初めて釧路川を下っていた女性が、「鏡の間に気付かずに通り過ぎてしまった」と悔いていたけれど、これならばそんな事もありなんである。
先に出発したカナディアンがそこに留まっていたが、私達が到着して間もなく、先に下っていった。
ツアーならば、ここでコーヒーでも落とすのだろうと思ったが、そんな優雅なツアーではなさそうだ。
この鏡の間では、SUPでの利用の際にボードから下りて歩きまわる人がいたり、SUPのフィンが水中の水草や苔を痛めるなどの問題が出てきているらしい。
言われてみれば、昔はもっと水草もあって、今よりずっと美しかった気がする。
ここの美しい環境を守るために、注意したいものである。
鏡の間は以前より水草が少なくなった気がする
その影響もあったのか、何度も訪れている鏡の間なので特に感動することもなく、私達も少しそこに留まっただけで直ぐにまた下り始める。
今日は天気が良いので、水の透明度を何時も以上に感じられる。
倒木などに生えているキノコも気になる。
オカマの彼女が小さな川原に上陸して休んでいたので、私達も次の川原で小休止することにした。
せっかくの美しい源流部なのに、このペースで下っていると、アッという間に下り終えてしまうのだ。
その間に再びオカマの彼女に追い越される。
この後はゴールの緑橋までオカマの彼女と会うことは無かったので、無事に下り終えたのだろう。
その先の美登里橋手前の川原も、何時も休憩している場所だけれど、先行していたツアーの人達がそこで休んでいたので、挨拶をしてそのまま通り過ぎた。
緑に染まった深い淵、流れるようにカヌーの下を過ぎていく小砂利の川底。
所々に白く見えているのは粘土が露出しているのだろうか。
何年も前からそこに沈んでいると思われる黒々とした流木も美しい。
そんな風景をゆっくりと楽しみながら下りたいのだけれど、それを邪魔するのはあちらこちらにある倒木である。
流れも緩いので避けることは難しくないが、数が多いのでとにかく面倒くさいのである。
(この時の釧路川倒木動画)
ツアーの盛んな川なので「もう少し倒木の処理をしても良いのに」と思ってしまうが、倒木にはなるべく手を付けないとのローカルルールがあるのかもしれない。
ひねくれた見方をすると、一般の人達が簡単に入れないようにして、なるべくガイド付きツアーを利用するように仕向けているんじゃないかとも思えてしまう。
途中で小さな流れ込みを見つけて、カヌーから下りてその流れの中を歩いてみた。
湧き水の流れる小さな小川って雰囲気だ。
谷地坊主に隠れるかみさん
家に帰ってからこの場所のことを調べてみると、11年前にクラブの例会で下った時に「手鏡の間」として紹介された場所と同じだった。
その時の写真を見ると、本流との合流部はもっと広くてなって、そのまま奥の方まで穏やかな水面が細く延びていて、手鏡の間の名前通りだった。
現在は、手鏡の柄も鏡も無くなってしまっている。
土砂で埋まったのか、釧路川の水位が上がれば昔のような様子に変わるのかは、分からない。
その後も美しい風景に癒やされながら下っていくが、次第にその代わり映えのしない風景にも飽きてきていた。
美留和橋の手前に川が直線化されて瀬になっている場所があるのだが、川のカーブを曲がる度に、その瀬が現れないかと期待してしまう。
そうしてようやく直線部の瀬が現れた時は本当に嬉しかった。
この区間で退屈に感じるようならば、弟子屈まで下っていたら、もっと退屈していたはずだ。
途中の土壁の瀬は見てみたいけれど、その他の区間は更に蛇行が激しくなり、倒木も増えてくるのだろう。
最後に瀬を下る
やっぱり短縮コースで良かったと思いながら、最後に瀬を下った。
しかし、過去に弟子屈まで下ったのは、11年前のクラブの例会の一度だけ。
せめてもう一回は、釧路川を弟子屈まで通して下ってみたいものである。
午前11時半には美留和橋について、おかげで余裕を持ってオンネトーキャンプ場へ向かうことができた
(当日12:00 釧路川水位 弟子屈観測所:99.96m)