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鵡川(2018/05/20)

新緑ダウンリバー

カヌークラブ5月例会初日は、気温4度で雨の降る中、トマム川を下っていた。
酷い花粉症で体調不良だった私たち夫婦は、初日の川下りをキャンセル。
かみさんは翌日も体調が回復せず、私一人で翌日の鵡川に参加することにする。

最初の計画では二日目は沙流川を下る予定だったが、私が3日前に下見をした時は気温が高くなった影響で増水し、とても例会として下れるレベルではなかった。
沙流川が無理な場合は鵡川に変更することとして、当日の朝に沙流川の様子を見て判断することになる。


色とりどりのカヌーが並ぶ

私が集合場所に着いた時には、沙流川を下見するまでもなく、鵡川を下ることに決まっていた。
後で聞いたところでは、沙流川はラフト業者もツアーを実施するかどうかで迷うくらいの増水だったようだ。

昨日の天気が嘘のように、青空が広がり気温も上がって、絶好の川下り日和である。
参加者は30名。
それ程広くないスタート地点は、足の踏み場もないくらいにカヌーで埋め尽くされる。

9時半に占冠の道の駅に集合し、スタート地点にカヌーを置いて、ゴールの福山大橋に車を回し、再びスタート地点に戻ってきて、ようやく川にカヌーを浮かべた時には既に11時30分近くになっていた。
川沿いに通っている道道が通行止めになったままなので、鵡川を下る時は車の回送に時間がかかるのが一番の難点である。


スタート風景


久しぶりのソロでのダウンリバーなので、パドリングしながらカヌーの動きを確認する。
鵡川をソロで下るのはこれが4回目。
と言うか、他にソロで川を下ったのは支湧別川の1回くらいしか思い出せず、何故かソロで下るのは鵡川ばかりなのである。


バク転の瀬

この時点で私は、去年もここをソロで下ったことを完全に忘れていて、10年前に向かい風で苦しめられたことと、9年前に福山から下流で増水した川に流されたことしか覚えていなかったのである。
一度も沈しないで去年下ったことを覚えていれば、もう少し気楽に下れていたかもしれない。

悪いイメージだけを頭の中に思い浮かべながら下っていくと、前方にバク転の瀬が現れる。
心の準備もできていなくてオロオロしている私の前を、昨年からクラブ初の女性CC乗りとなったヒロやんが臆することもなく瀬の中に入ってく。

感心しながら眺めていると、最後の大波に巻かれて沈脱。


下り終えてくつろぐ人達

こちらも、人のことよりも自分の身の心配をしなければならない。
横から襲い掛かってくる波に、カヌーを回されないようにしながら、何とかクリア。

沈したヒロやんはG藤さんのロープで拾い上げられ、カヤックだけが流されていく。
大地君が直ぐに川に飛び込んでそのカヤックを確保、ひっくり返っていた舟を元に戻し、それをエディに向かって押し込み、後は泳いで岸に上がる。

以前に彼が、流されたカナディアンのペインターロープを口にくわえて泳ぎ、そのまま岸に引き上げたという話を聞いたことがある。
その時は、そんなことができるのかと半信半疑だったけれど、今日の泳ぎを見て、彼ならそれも可能だろうと納得できた。
その後は、カヤックが1艇流れてきただけで、去年のような沈脱祭りにはならずに済んだ。


前を下っていたヒロやんはこの後すぐに沈


この後暫くは難所らしい場所もないので、新緑の風景を楽しみながらのんびりと下っていく。



ただ、一部のメンバーはギラギラと目を光らせながら、新緑の風景の中に紛れ込んでいるウドの姿を追い求めていた。
昨日はトマム川で大量のアイヌネギやウドを収穫して、宿泊場所の双民館でたらふく食べているはずなのに、それでは飽き足らないらしい。

レスキューの際に泳ぎのスキルの高さを披露してくれた大地君は、今度は崖上りのスキルの高さを発揮する。
崖の途中に生えているウドを発見した途端、カヤックから飛び降りて崖に駆け寄り、そのスピードを維持したまま崖をよじ登っていくのである。
さすがに現役大学生、カヌークラブのおじさん達がへっぴり腰で崖を登る姿とは大違いである。


ウド採り難易度ランクC

ウド採り難易度ランクE



ヒロやんのカヤックを確保したジュニア

30名の大人数で下っていると、何処で何が起こっているかが全く分からない。
ジュニアが、川の中からカヤックを引き上げている姿が見えた。
「あれ?誰か沈したのかな?」と思いながら横を通り過ぎていくと、その下流には岸を歩いているヒロやんの姿があったのである。

その先の分流では左側のストレートコースを選択。
波の高い瀬になっているけれど、バク転の瀬のようないやらしさが無いので気持ち良く下ることができる。

その瀬を下ったところが何時もの昼食ポイントである。
今日も既に12時を過ぎていて、ここで昼の休憩をとることになりそうなので、私は後続メンバーの写真撮影をすることにした。

既に2沈しているヒロやんも、ここは危なげなく下ってきた。
危うく沈しかける人、ニコニコ笑いながら楽しそうに下る人、完全に瀬を舐めきっているI山さんはパドルを頭上でくるくると回しながら下っていった。


沈にもめげないヒロやん

余裕のI山さん




男二人のタンデムはむさくるしい

何時もはSUPに乗っているI倉さん夫婦は、今日は熊さんのカナディアンを借りて、タンデムで下っていた。
その写真を撮ってあげようと思って「こっちに来い」と手招きすると、右の分流に入ろうとしていたI倉艇は途中で座礁。

熊さんのカナディアンはFRP等で補修しまくっているので、重量は40キロを超えている。
非力な奥さんでは、そのカナディアンを引っ張れない。
ここでも大地君が登場し、奥さんの代わりに彼が乗り込み、男二人のタンデムで瀬を下ってきた。

ここはやっぱり、むさくるしい男二人のタンデムよりも、可愛らしい奥様がバウに乗って豪快に瀬を下る写真を撮りたかったのである。


核心部の手前で昼の休憩


休憩を終えて、いよいよ鵡川の核心部へと入っていく。
鵡川のこの区間はもう何度も下っているので、次にどんな瀬が現れるのか、覚えていても良さそうなものだが、1週間前のことさえ忘れてしまうのに、1年前に下った川のことなど覚えているわけがない。

次は何が待ち構えているのだろうと、常にドキドキしながら下っていくことになる。
それでも、瀬に入ると「ああ、こんなところだった」と1年前の記憶がよみがえってくるのである。


核心部の途中



ソロでのパドリングにも次第に慣れてきたので、何とか無難に瀬を下っていく。
しかし、ヒロやんは無難ではなかった。
瀬に入る度に、ことごとく沈しているような有様である。


レスキューロープを持って待ち構えるG藤さん

沈すると体力の消耗も激しい。
普通は、一つの川を下るのに3回も沈をしたら、精魂尽き果てているところである。
それがヒロやんは、全くめげる様子が見られない。
もしかしたら、心は完全に折れているのに、外にそれを出さないように健気に振る舞っているだけなのかもしれない。
それでも大したのものである。

後で知ったのだけれど、ヒロやんは前日のトマム川ではその核心部を見事に下りきっていたのだ。
それなのに今日は、どうってことのない瀬でも沈を繰り返している。
きっと、双民館の体育館での雑魚寝ではぐっすりと眠ることができず、疲れが残っていたのだろう。

そうしてようやく核心部が終わった。
この後で待ち構えているのは、ゴール手前の沈脱祭りの瀬だけだ。


核心部もようやく終わり


ここでもヒロやんは、全く臆する様子も見せずに瀬に突っ込んでいき、そして見事に玉砕したのである。
私の数えていた限りでは、これがヒロやん6回目の沈である。


最後の瀬を前にして心の準備


最近は、一部のいかれた人達の間で皆で繋がったままで瀬を下るのが流行っているらしい。


4艇繋がって1艇だけが沈

今回はいかれた人達の一人が岩登りに行ってしまったので、その身代わりに奥様が仲間に入れられてしまった。
そうして、4艇のカヤックで繋がったまま最後の瀬に突入し、O橋さん一人だけが沈する結果となったのである。

今度は、既に下り終えていた大地君が、カヌーを持たずに上流へ戻っていく。
何をする気なのかと思って見ていたら、何と体一つで流れてきたのである。
彼もこれで完全に、いかれた人達の仲間入りである。

そうして、動画撮影を終えて最後に下ってきたI山さんも、いかれた人達の仲間入りをしたかったようだ。
瀬の手前で後ろ向きになり、無謀にもその落ち込みでサーフィンにチャレンジ。
そんなことが出来るわけもなく、落ち込みの下でもみくちゃになり、最後にその下流にポイと吐き出された。

こうして、楽しい鵡川の川下りは終了。
やっぱり川を下る時は、天気が良いのに越したことはないのである。
 

(当日12:00鵡川水位 福山観測所:168.71m)



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