北海道キャンプ場見聞録
鵡川(2017/06/04)
ソロが楽しい岩避けダウンリバー
カヌークラブのミニ例会で企画された、鵡川のニニウ~福山間の川下り。
かみさんが友人との温泉旅行に出かけたので、今回は久しぶりにソロで漕ぐことになる。
鵡川のこの区間は9年前にもソロで下っているが、その時は風が強くて、風にカヌーを回されそうになりながらの岩避けダウンリバーで、心身ともに疲れ果ててしまった。
その翌年には増水した鵡川の福山から下流をソロで下ったが、流れが強くてエディに入れず、近寄ってはいけない大岩にそのまま吸い寄せられて沈。
スタート地点は穏やかな流れだ
ソロで下る鵡川に良い思い出はなく、スタート地点へ向かう途中に木々の間から時々見える白波に、内心びびっていた。
それでも今回は、私の他にkenjiさんとH池・M木ペアの大型カナディアン2艇が参加していたので、少しは気が楽である。
鵡川初チャレンジで緊張気味のH池さん達を、内心の不安を表に出さないようにして、励ましてあげる。
参加者はカナディアン組を含めて16名である。
スタート地点の穏やかな流れをゆっくりと下り始める。
直ぐにザラ瀬気味の流れに変わるが、水が少ないので隠れ岩が多い。
流れが緩やかなので、それを避けるのに苦労はしない。
バク転の瀬に突入
しかし、直ぐ目の前にバク転の瀬が迫ってきた。
私の前を下っていたH池艇が瀬をクリアしてそのまま左岸に接岸。
と言うか、瀬をクリアした拍子に左岸に打ち上げられたという方が正しいかもしれない。
波が複雑に絡み合う瀬に入る時は緊張したが、何とかバランスを崩すことなく、通り抜けることができた。
後ろから「あ~、いった~」との声が聞こえたので振り返ると、Kenjiさん艇がひっくり返っていた。
その向こうでもカヤックが腹を見せていたが、marioさんのようだ。
さすがにバク転の瀬である。
何時も誰かがその餌食になるのだ。
I山さんとS藤さんが、舟から下りて崖をよじ登っていた。
直ぐにmarioさんが後を追う。
その先に生えているのは、既に大きくなりすぎたウド。
それでも諦めることなく、先の方だけを収穫していた。
時期は過ぎてもやっぱり山菜命の人達
次の瀬が現れるまでののんびりタイム
時々ザラ瀬が現れる。
ソロで下っていると、自分の思っているコースに自由に舟を持っていくことができるので気持ちが良い。
これがやっぱり、タンデムで下っていたペアが次第にソロに別れていく理由なのだろう。
しかし、私は腕力がないので、そんなに力を入れて漕いでいる訳でもないのに、次第に腕が疲れてきてしまう。
パドリングが上手になれば、腕力に頼る必要もないのだろうが、それでもやっぱり腕力が有るに越したことはない。
今日みたいに水も少なく、風も殆ど吹いていない時ならば何とかなるけれど、水量が増えて流れにパワーがあったり、風が吹いていたりすると、自分の腕力の無さを痛感させられるのだ。
名も無い瀬を下る
川幅が狭まっているところがあった。
流れが速くなり、そこに岩も絡んでいる。
しかし、嫌らしい流れではなく、余裕を持って岩を避けながら、そのスピード感を楽しむ。
M木さんが「ここには、バク転の瀬みたいに何か名前は付いているのですか?」と聞いてきた。
名前の付くような瀬は必ず誰かが沈するようなところであって、かなり激しい流れでも沈せずに下れるようなところでは名前は付かないのである。
しかしそこで、N島さんが岩沈をして流されてきた。
誰もロープを投げようともせず、ただ眺めているだけである。
N島さんが岩沈するのは見慣れた風景で、N島さんのセルフレスキューの能力の高さも皆知っているので、安心して見ているのである。
M木さんの様に、恐れ多くてクラブの会長に向かってロープなど投げられないと思っている人もいる。
しかし、流されている当人は「冷たい奴らだ」と思いながら流されているのが本当のようだ。
核心部に入ってきたところで昼の休憩にする。
疲れている私にはありがたい休憩だった。
核心部を前にして昼の休憩
そしていよいよ核心部へ。
私のイメージに残っている核心部は、ひたすら瀬が続いて途中で休んでいる暇などないと言った感じなのだが、所々で一息付いて写真を撮る余裕すら有る。
核心部も意外にあっさりと下れてしまう
岩避けも問題ないH池・M木ペア
何人かが途中で沈したみたいだが、大型カナディアン組は核心部を無事にクリア。
H池・M木ペアは、前回の増水した沙流川を沈せずに下り、大きな波への対応力を証明していた。
今回の鵡川では岩避けのスキルを試される。
そしてそのスキルも十分であることを、またしても証明して見せたのである。
大波に対応できて岩避けもできれば、もうどんな川でも下れるかもしれない。
巨大な流木の山と巨大なアンダーカットの岩が有った。
本流は真っ直ぐにそこに向かって流れていたけれど、本流に乗らなければ余裕を持って避けられる。
「増水した時にこんなところに填ったら確実に死ぬね!」
そんな話しをしながら、その前で記念撮影をしていると、沈したN島さんが本流の中を流れてきた。
増水した時には近づきたくないハザードである
まさかここに潜り込むとは思わなかった
これはさすがにまずいと思ったけれど、こんなところで沈する人などいないと思っていたので、誰もレスキューの用意などしていなかった。
今回もまた、ただ眺めているだけ。
流れが緩かったので、アンダーカットの岩に吸い込まれることはなかったが、さすがのN島さんも度重なる沈で疲れ気味のようで、その後の再乗艇でも一苦労。
増水した川では嬉々として下っているN島さんも、今日は最初から気合いが入っていなかったみたいで、「水の少ない川は嫌いだ」と鵡川に文句を言っていた。
国道を走る車の姿が見えてくる辺りで巨大な岩に目を惹かれる。
今までそんなに気にしたことはなかったけれど、その岩を良く見ると何かの顔か生き物のように見えてくる。
「ガマ岩」とか、名前を付けたくなる大岩である。
私が名前を付けるとしたら「ガマ岩」か?
そして最後の沈脱祭りの瀬へとやって来た。
上流から見ると、瀬の中央で噴水の様な派手な水しぶきが上がっている。
先頭を下っていたI山さんが瀬の手前で上陸したので、皆も一旦上陸して瀬の下見をする。
バランスを崩して危うくガンネルを掴むところだった
水しぶきの下は、カナディアンでも掴まりそうなホールになっていた。
実際に、もっと水の多い時にここを下った時、大きなカナディアンが後ろに引きずり込まれそうになって焦ったことがある。
一番最初にチャレンジしたウッチーさんがホールに掴まって沈脱した以外は、皆すんなりと下っていく。
G藤さんやテンコさんなどは、瀬の手前のウェーブでサーフィンを楽しむくらいの余裕である。
私は、噴水の様な水しぶきを上げる波を避けて下ってしまったけれど、後になってどうせならど真ん中に突っ込めば良かったと後悔した。
H池・M木ペアはここも果敢にチャレンジしてクリア。
H池さんが「カヌーが傾いた時にガンネルを掴んでしまった」と恥ずかしがっていたが、私はそんな事はしょっちゅうである。
必殺「ガンネル掴み」と言う技さえ持っているくらいだ。
N島さんがここで最後に5回目の沈をして、楽しい川下りを終えたのである。
(鵡川の川下りの動画へ)
(当日12:00鵡川水位 福山:168.61m)