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空知川

(国体コース〜山畔橋)

カヌークラブ7月例会の最終日は空知川を国体コースから下る。
この日は、朝から青空が広がり、気温も上がって絶好のカヌー日和。
水の量は昨日より減ってしまったが、その分透明度が上がり、疲れも出てきた例会最終日に下るには、この方が好都合である。
さすがに今日は、ドライスーツを着なくても大丈夫そうだ。

参加者は昨日より減ったけれど、それでも24名と相変わらずの大人数。
今日だけ参加のあかりさんは、去年シーソラプチ川をタンデムで下っていたけれど、カナディアンのソロでこのような川を下るのは始めて。
若い女性の参加に皆大喜び何時もは釧路川で練習しているらしいが、釧路川とこことでは川の質が全く違う。
人生初の沈を経験するのかと、無茶苦茶緊張している。

皆から「レスキューするから大丈夫」と言われていたが、それがちょっと怪しくなってきていた。
今日はあかりさんの他に、I上さんの職場の関係から、川を下るのが初めてという、うら若い女性がゲスト参加していた。

川下り前のミーティングで挨拶するその初々しい姿は、まさに掃き溜めに鶴といった感じだ。
いや、彼女以外にも鶴は何羽か混じっているのだけれど、同じ鶴でも幼鳥と年を食った鶴とでは違いが大きすぎる。
そして、あかりさんも決して幼鳥ではない。
2羽の鶴が溺れていたら、誰だって幼鳥を助けたくなるのが道理である。
亜香里さんが昨日の夜、皆が肉を食べすぎて胸焼けしているところへ、行者ニンニクやウド、ミツバなどの山菜を手土産に現れて、皆そのおかげで再び美味しいお酒が飲めた事など、一晩経てば誰も覚えていないのだ。

何時ものことながら、国体コースのスタート地点は本当に美しい。
特に天気が良い時は、なおさらである。
川に舟を浮かべる時にワクワクするのは、こことヌビナイ川のスタート地点が一番だと思う。


国体コーススタート地点
国体コースのスタート地点の風景は美しい

三段の瀬を下る亜香里さん三段の瀬も、今日は撮影班として先の方に下る。
その目的はやっぱり、あかりさんの記念すべき初轟沈をしっかりと記録するためである。
しかし、あかりさんは、そんな私の魂胆をあざ笑うかのような見事なパドル捌きで三段の瀬を下ってきたのだ。
川の質が違うとは言っても、倒木だらけでそれなりに流れのある釧路川源流部で鍛えられていれば、何処でも応用は利くのである。

次はパチンコ岩。
昨日はギリギリで岩をかわしたけれど、今日は水が減った分、もっと余裕を持ってかわせるだろう。
ところが、先に下ったOC-1のN島先輩とたけさんが、二人ともパチンコ岩で沈しているのだ。

パチンコ岩にぶつかるそれでも、自分たちは大丈夫だと思いながら下っていくと、岩をかわすどころか、横向きになったままぶつかりそうになる。
パドルでは押さえきれないので、手で岩を押さえながら何とか左側へと回り込む。
その途中でカヌーが左側に傾く。
右側は岩なのでリカバリーもできず、そのままカヌーはひっくり返ってしまった。

これがMEでの記念すべき初沈となったが、情けない沈である。
ちょうどそこにいたN島さんに助けられ、左岸の岩の上に這い上がる。
そこがちょうど良い撮影ポイントだったので、そのままカメラを構える。
ところが、さすがの防水一眼デジカメも冷たい水に浸かった後の温度変化には対応できず、レンズの内側が曇ってしまっていた。

ちょうど、カナディアン組みが下ってくるところだった。
最初のkenjiの姫さんは、パチンコ岩攻略の見本のようなコース取りでクリアしていく。

パチンコ岩を下る亜香里さんその後から下ってきたのが、あかりさん。
レンズの曇りは取れないけれど、初沈シーンだけは撮らなければならない。
しかし、ここでもあかりさんは、初沈した私達をあざ笑いながら、パチンコ岩を回り込み、左岸の岩もギリギリでかわし、そのまま渡月橋の落ち込みまでクリアしてしまった。

その次のビンバさんは、パチンコ岩をクリアしたものの、そのまま左岸の岩にぶつかってしまう。
ここも、パチンコ岩攻略の際の難しいポイントとなっているのだ。

初めて下る国体コースで、この難しいパチンコ岩をクリアしてしまったあかりさんには、驚くしかなかった。
左岸の岩にぶつかったビンバさんは、赤岩青巖峡を大型カナディアンのソロで下った人なのである。
その気になればあかりさんも、赤岩青巖峡を下るのは不可能ではないと言えるだろう。

渡月橋の落ち込みでヒヤリ私達がパチンコ岩で沈するのはこれが2度目。
その下の渡月橋では3〜4回沈している。
ここでまた沈したら、あかりさんの前で二度と頭を上げられなくなってしまう。
冷や冷やしながら下っていったら、またしてもカヌーがぐらりと揺れて、その瞬間にパドルから手を放してしまった。
沈こそ免れたけれど、皆から笑わることとなる。

渡月橋の落ち込みでは昨日のような沈脱祭りにもならず、これで国体コースが終了
その先から、I上さんが連れてきた彼女が合流。
周辺は大きな瀞場になっているので、川に出る前の練習をするのにはちょうど良い。

同じ女性カヤッカーのN野さんがサポートすることになったようだが、N野さんの提案でまずは沈脱の練習から。
その沈脱も、瀞場ではなく流れのある場所まで連れていってからの沈脱練習である。
確かに、全くのカヤック初心者が始めて川を下るのに覚えておかなければならない技術は、沈脱なのだろう。


国体コース下
国体コース下から再スタート

彼女が無事に初沈脱経験を終えたところで、第二ラウンドの川下りがスタート。
最初の難所が直ぐにやってくる。
流れが岩壁にぶつかり、直角に左に向きを変える場所である。
岩壁にぶつかる直ぐ手前に岩が出ていて、右岸側には倒木が絡んだ、結構嫌らしい流れになっている。
後でI山さんの撮っていた動画を見て分かったのだけれど、ここでも沈脱祭りとなっていたようだ。

岩壁の瀬前を下っていたY須賀さんのOC-1が浅瀬で座礁していた。
私たちは途中で止まって様子を見ていたが、その後から下ってきた彼女は、途中で止まることもできず、そのまま倒木の方へ向かって下っていく。
これはまずいかなと思ったが、あっさりとそこをクリア。
初めての川下りで、沈脱祭りの開かれていた場所を無事に下ってしまうとは、センスの良さを感じさせられた。

それを見ていて、倒木寄りのルートが意外と簡単な事が分かり、私達もそのルートで下らせてもらう。
毎回、カヌーの底を隠れ岩にぶつけながら下っていたところなので、これは嬉しかった。

その後は特別な難所もなく、気持ちの良い瀬が続く。
天気が良く、水も澄んでいるので、川底の石が本当に綺麗に透けて見える。
瀬の水しぶきもキラキラと輝き眩しいくらいだ。


水が輝く空知川
天気も良くて本当に気持ちが良い

初心者とは思えない落ち着きぶりI上さんが連れてきた彼女は、一度だけ沈したが、直ぐに他の舟が集まってきてレスキューされたみたいだ。
やはり若い女性は得である。
他のメンバーが沈したとしても、こうはならない。
危険な場所でなければ、皆も笑ってみているだけ。
運が悪ければ、私のカメラの被写体になってしまうのである。

途中の川原で昼の休憩。
ドライスーツを着ている人は木陰に避難するけれど、沈してウェアが濡れている私は陽射しの下に出ないと寒いくらいだ。
やっぱり、ちゃんとしたウェットスーツを着ていないと、真夏でも水には入りたくない。


空知川を下る   木の下からこんにちは
快適に下る   枝の下からこんにちは!

そして、噴水の瀬までやって来た。まずは全員で下見をする。
多分、この噴水の瀬では、下見やポーテージをする時が一番危険だと思う。
何せ、下の岩盤がギザギザに尖っているので、転んだら大怪我間違い無しなのだ。

案の定、K原さんがバランスを崩して手をついた拍子に、手のひらを切ってしまった。
病院に行けば数針は縫わなければならない様な傷で、血もなかなか止まらない。
こんな時のためにクラブの救急セットを私の舟に積んであるが、K原さんも自分で救急セットを用意していた。
その中に入っていたワセリンを使って止血していたけれど、これは使えそうな方法である。

噴水の瀬を下るK岡さん肝心の噴水の瀬の方は何時もと変わらない様子だったので、サッサと下って後続メンバーの撮影にあたる。
見た目は恐ろしい瀬だけれど、今までここでは沈したことが無いので、苦手意識も無く下れるのだ。

I上さんが連れてきた彼女は、勿論ここは下らない。
カヤックをポーテージするのかと思ったら、I上さんが自分の舟で下った後、彼女の乗っていたカヤックでもう一度瀬を下ってきた。
こんな良い方法があったのかと、感心してしまう。

噴水の瀬では大型カナディアンの方が安定しているようだ。
あかりさんはここもすんなりと下って、とうとう一度も沈することなく国体コースを含めた空知川を下りきったのである。
カヌーは沈しながら上手くなるものだと私は考えていたが、あかりさんにその図式は当てはまらないようである。


噴水の瀬を下る亜香里さん
あかりさんは噴水の瀬もクリアしてしまった

噴水の瀬を流されるタケさん同じカナディアンでもOC-1は安定が悪く、Y須賀さんとたけさんが沈。
今日のたけさんは、何度も沈を繰り返していた。
こうなると沈も大して苦にはならないらしく、とびきりの笑顔を浮かべて、楽しそうに流されていった。

カヤックもここでは分が悪い。
特に、沈した場合は急な流れの中に潜んでいる岩に頭をぶつけそうで、見ている方も冷や冷やしてしまう。

周辺の岩はナイフのように尖っているけど、瀬の中に隠れている岩はそうでもないのだろう。
もしも、同じように尖っていたら、噴水の瀬の水が真っ赤に染まってしまうはずだ。
ロールで起きる人もいるけれど、ここではがんちゃんのように瞬脱の技を使った方が良さそうだ。

この後沈脱したI山さん皆の動画を撮ってくれていたI山さんが一番最後に下ってくる。
最後に格好良く決めてくれるかと思ったら、最初の落ち込みでひっくり返り、その後の3度のロールにも失敗し、とうとう沈脱。
先頭で下って沈していたO橋さんが大喜びでロープを投げた。
I山さんはこれで、3日間の例会全てで沈脱するという輝かしい記録を打ち立てたのである。

今日の様な空知川を下っていると、沈をするもしないも関係ない。
誰もが皆、笑顔になれるのだ。

そうして、瀬の余韻を楽しみながら、ゴールの山畔橋までのんびりと下っていく。
空知川を下る時は、何時もこんな天気に恵まれているのだった。

2015年7月20日 晴れ 
当日12:00空知川水位(幾寅観測所) 353.81m

噴水の瀬の動画 


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