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支湧別川

(新生橋〜幽仙橋)

3週間前に例会の下見の名目で下った支湧別川を、今回はカヌークラブの正式な例会として下る。
その時も気温が10度を下回る寒い日だったが、今回も白滝の気温は7度くらいしかない。

ウッドカヌー制作中集合場所に集まる前に、白滝のインディアンカヌークラフトに立ち寄る。
そこでは、2週間の休みを取って群馬からやって来たKevipaさんが、ウッド・キャンバスカヌーの製作に取り組んでいるところだった。

去年か一昨年から、時々白滝を訪れてはカヌーの製作を続けていて、既に船体部分の形が出来上がりつつあった。
それでも、今回の滞在中には完成させられないという。
その美しいフォルムにうっとりさせられ、集合場所の白滝インターに向かった。

既に集まっていたメンバーは皆、寒さに震え上がっていた。
天気もパッとしないので、下る区間を短縮することにして、ゴール地点は国道の幽仙橋、スタートは下見の時よりもう一つ上流の新正橋とすることに決まる。
湧別川の部分はカットして、支勇別川だけを下るような形である。
下見の時の後半部分の苦行を思えば、妥当な変更だろう。

狭い道に車の列が6年前の例会でも新正橋からスタートしていたが、その時の川の様子など殆んど覚えていない。
覚えているのは、スタートする前にI田さんのドライスーツの首のガスケットが破れて、そこにガムテープを巻き付けてやった事くらいだ。

参加者は19名の18艇。
この狭い川をこれだけの大人数で下ったら、一体どうなるんだろうと心配になってくる。
河原へと降りる狭い道にも、カヌーを積んだ車が数珠つなぎである。

スタート地点の直ぐ下流に、いきなり流木ストレーナーが待ち構えていた。
賢いメンバーはその下流からスタートするが、そうではないメンバーが数名、敢えてそのストレーナーの上からスタートする。
見かけほどは流れも速くないのか、皆余裕を持ってそのストレーナーをかわしていた。


集合写真   ストレーナー
支湧別川に19人も集まるなんて  

スタート直後のストレーナー


そしてその下流から、改めて全員揃っての川下りが始まる。
カヌーの数も多いので、私たちは集団の最後尾から付いていく事にした。

川の上は大賑わいスタートして暫くの間は、支勇別川にしては川幅も広く、ざら瀬が続いていた。
途中、2年前の例会の時、流されたK岡さんのカヤックをが発見された場所を通過。
ここの記憶だけは鮮明に残っていたが、当の本人はそれを覚えていたのかどうか。
既に先に下っていってしまって、聞いてみる事ができなかった。

3週間前にスタートした場所までは、直ぐに下ってきてしまった。
下流部をカットした分、上流部を少し延ばしたのだが、大した意味は無かったかもしれない。

そこからいよいよ支湧別川らしい風景が展開される。
前回はソロで下って、心身ともにボロボロになってしまったが、今回はかみさんとのタンデムなので風景を楽しむ余裕もある。

支湧別川の川下りソロの時には衝突した岩も、余裕でかわせる。
今までかみさんに頼りすぎていた事も反省点だったので、今日はソロで漕いでいるつもりになって、積極的なパドリングを心がける。

最初は用心して後ろの方を下っていたが、タンデムの安心感もあり、途中から前の方に出て行く。
たまに先頭に出てしまう事もあるが、下見で下って川の様子も分かっているので、焦ることもない。

良い撮影ポイントを見つけては、かみさんにカヌーを確保してもらっておいて、私は他のメンバーの撮影に専念できる。

木々の緑、苔生した岩、その中を流れる清冽な水。
岩の間を縫うように流れる川は白く泡立ち、水面には色とりどりのカヌーが浮かぶ。


美しい支湧別川
支湧別川の美しい風景

楽しそうに流されるOC-1のよしひろさんが、私の期待に応えて沈を披露してくれた。
楽しそうな笑顔を浮かべながら、美しい風景の中を流されていく。
この川なら「沈もまた楽し」である。

途中の川原で休憩。
休憩といっても、この辺りの支湧別川には川原はほとんど無いので、岩の上での休憩である。
苔生した岩が座布団代わりだ。

下見の時は、疲労のために昼食のおにぎりもまともに喉を通らなかったが、今回は食事も美味しい。
それでもやっぱり、この流れの中で大きな舟をしっかりとコントロールするためには、それなりに力も必要であり、疲れは出てきていた。


昼の休憩   支湧別川の風景
コケの座布団に座って昼食   緑に包まれる支湧別川

水が減ると岩避けに忙しい昼食を終えて再び下り始める。
下見の時よりも川の水位は下がっているようだ。
その分、岩避けが忙しくなる。

今回は、kenjiさんが大型カナディアンに一人で乗っていた。
考えてみると、クラブの例会では、大型カナディアンで支勇別川を下るのは、私達以外ではkenjiさんが初めてである。
おまけに初めて下る川なので、さすがに苦労しているようだ。

亜香里さんが今回の支湧別川例会に参加するかどうかで迷っていた時、私自身がソロで下って苦労していたので、何とも言えずにいた。

支湧別川を下る そこでクラブの役員の中で相談したところ、「支勇別川は決定的に危険な場所も無く、皆で助け合えば何とか下れるだろう」との結論が出た。
結局亜香里さんは「今の自分の技術では無理」と判断して参加を見送ったのだが、kenjiさんを見ていてその判断が正しかった事を改めて認識した。

クラブのメンバーの「大丈夫、大丈夫」とか「ちゃんとフォローしますから」の言葉ほど当てにならないものは無いことを、私は身をもって体験していた。
クラブに入会したばかりの亜香里さんが、既にその本質を見抜いていたとは、彼女には動物的な感が備わっているのかもしれない。

フォローするといっても、手を繋いで一緒に川を下ってくれるわけではなく、流されたところをレスキューしたり、張り付いたカヌーを岩から剥がしてくれるだけなのである。
下っている間は全ての事に一人で対処しなければならないのだ。
ただ、そんな時こそ自分のスキルよりも一ランク上のレベルの川にチャレンジするチャンスでもあると言えるのである。


支湧別川を下る
必死になって岩を避ける

結構な落差の落ち込みがあって冷やりとさせられる。
多分、前回下った時と比べて落差自体は大して変わっていなくても、水が減って回りの岩が露出しているので、落差が大きく見えるのかもしれない。

3人乗りそこで写真を撮っていると、kenjiさんのカヌーが岩に引っ掛かり、後ろ向きのまま落ち込みの中へ。
まるでバックドロップで投げられるような豪快な沈を披露してくれた。
川下りの撮影をしていて一番楽しい瞬間、撮影冥利に尽きるといったところだ。

舟だけが下流に流されてしまったので、kenjiさんを我が家のカヌーに乗せて流された舟まで送り届ける。
大人しく乗っていてくれれば良いのだけれど、自分でも漕ごうとするのでパドルがぶつかって漕ぎづらい。
ラフトでも自分で漕ごうとするお客さんはガイド泣かせなのだが、それと同じで困ったお客さんなのである。


支湧別川の流れ
岩の間を縫うように下る

白滝の市街地まで下ってきて、狭い落ち込みの瀬が待ち受ける。
水が少なくて、皆も左岸側のチキンルートを座礁しながら下っていた。

狭い落ち込みで掴まるすると、先に下っていたI上さんが狭い落ち込みの方で手招きをしていた。
その誘いに乗って、N島さんがそちら側を下っていく。
その後に続いて、よしひろさんまで狭い落ち込みに向っていってしまった。

I上さんの指示する場所は、そこが下りやすい場所という事ではなく、豪快な沈が見られる場所であると言う事を、入会して間もないよしひろさんはまだ分かっていなかったようだ。
案の定、狭い岩の間に舟が挟まったよしひろさんは、頭から水の中へと落ちていったのである。

そこを過ぎれば、この後は大した難しい瀬も無かったはずである。
ところが、ちょっとした落ち込みの下でY田さんのカヤックが横向きになっているのが見えた。
張り付いたカヤックそしてY田さんの姿も、カヤックと一緒に波の中に見え隠れしている。
その状態が暫く続いていたので「これはまずいかも」と最悪の事態が頭の中を過ぎったが、人間の方は何とか抜け出せたみたいだ。

しかし、カヤックの方はI山さんとS藤さんの二人がかりで大きくあおっても、全く岩から外れる気配が無い。
ロープを繋いで数人がかりで引っ張り、ようやく外すことができた。
この間に何処かに挟んだのが、Y田さんの小指が大きく腫れ上がっていた。
かみさんの例もあったので、骨までいったかと心配したが、内出血だけで澄んだようである。

狭い水路この川は、水が少ない時の方が嫌らしい場所が増える気がする。
その先にも、1.5m程度の岩の隙間を川が流れているところがあって、びっくりさせられる。
Y田さんが張り付いた場所もここも、3週間前には特に気を使うことも無く下っていたところなのだ。

そして、湧別川本流との合流部まで下ってきた。
そこから見る湧別川は、これまで下ってきた支湧別川とは全く違う表情で、穏やかに優しく流れていた。

ゴールの幽仙橋が近づくと霧雨が降り始めた。
ゴール地点を変更したのは大正解だった。
下見の時は既にここで疲れきっていたのに、ここから更に同じ距離を下って、最後には本格的な霧雨の中を濡れながら下っていたのである。

ちょうど心地良い疲労感で川下りを追え、この後の宿泊地であるキトウシ森林公園家族旅行村へと皆で向かったのである。

2015年6月27日 曇り 
※参考 当日12:00湧別川水位(湧別川観測所) 173751m

下見の時の支湧別川と比較した動画 


張り付き現場   苔生す岩
手前が張り付いた場所、そこを避けて下る   苔生す岩

湧別川本流に合流
湧別川本流は穏やかな流れだ

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