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石狩川

(菊水橋〜中愛別橋)

カヌークラブ6月例会の二日目は、石狩川の上川町から中愛別までを下る。
昨日下った支湧別川は、一列縦隊でなければ下れないような小さな川だったが、それと比べると川のスケールが全然違う。
石狩川の上流部と言えども、既に大河の面持ちを感じさせる。
この区間を下るのは2度目。前回は雨の影響で大増水していたので、全く違う川を下るような気分である。

石狩川の川下り集まったメンバーは16名。
昨日に引き続いて天気も良く、ドライスーツを着ないで下ることにした。
菊水橋の下をスタートして直ぐにザラ瀬が続いている。
太陽の光を受けて波がキラキラと輝く。
昨日の支湧別川と違って川幅も広いので、各々が好きなコースを下ってくる。

水は少なめだが、下るのには大して支障はない。
ただ、川底にコンクリートブロックが敷かれている所では、そのブロックの出っ張りにカヌーの底を擦ってしまい、ただでさえボロボロになってきている我が家のカヌーが、更にひどいことになりそうだった。
隠れ岩ならば波の立ち方でその存在を知ることができるが、このような成型された人工物が並んでいる所では波も立たないので、厄介なのである。


気持ちの良い瀬   イヤらしい人工物
ザラ瀬がキラキラと輝く   嫌らしい人工物だ

パワーのある石狩川水は少なくても、場所によっては結構大きな波が立っていて、ドキッとさせられる。
この辺りの川幅や、流れている水の量ならば、何時も下っている空知川や尻別川と大して変わりはない。
それでいて、瀬を超えるたびに「さすがに石狩川はパワーがあるな〜」と感じてしまうのは気のせいなのだろうか。

そんな石狩川を、kenjiさんがコロちゃんを乗せて下っていた。
正直言って、スタートする前は「本当に大丈夫かな〜」と内心心配していた。
しかしそれは、私の取越し苦労だったようである。
瀬の音が近づいてくるたびにカヌーの中に身を隠していたコロちゃんも、そのうちに顔を出したまま瀬を下るようになってきていた。
kenjiさんのパドリングも上手いものだ。

ポンモシリの瀬の下見に向かうやがてこの区間で一番の難所であるポンモシリの瀬までやってきた。
皆で下見をする。
それまで川幅いっぱいに広がっていた流れが、巨大な岩に挟まれた狭い場所に一気に集まってくる。
ここのヒーローコースは右岸側。
我が家は前回、左岸のチキンコースを下ったのだが、水が多くてチキンコースも結構な迫力だった記憶がある。
ところが今回は、水が少ないのでヒーローコースにしか水が流れていないのである。

さすがにkenjiさんもコロちゃんと一緒にここはポーテージ。
ガンちゃんとS良さん父もポーテージ。
かみさんが一度も「ポーテージ」の言葉を口にしなかったのには、ちょっと驚いた。
最終的に下ることにしても、最初は「絶対無理〜!」と言うのが何時ものパターンなのである。
と言うことは余程自信があるということなのだろう。


石狩川ポンモシリの瀬
皆でポンモシリの瀬を下見する

いちばんばったーのN島さん一番最初にOC-1のN島さんが下ってきた。
最近は何時も、特攻隊長のように先陣を切って瀬に突入する男N島先輩なのである。
集合場所に集まるためには高速を上川インターで降りなければならないのに、勢い余ってそのまま愛別まで行ってしまったりするのは、たまの愛嬌だろう。

皆が下るのを見ていると、ここでは小さなカヤックの方が苦労しているみたいだ。
そんな中を下ってきたK岡会長。
かみさんの話によると、下見をしながら自信無さげな言葉をつぶやいていたらしい。
その弱気の結果が力の無いパドリングとなり、最初のバックウォッシュにつかまって後ろ向きとなり、そのままあっさりと沈。
直ぐにロールで起き上がるだろうとそのままカメラを向け続けていると、その瞬間にホイッスルの音が大きく鳴り響いた。
「えっ?この段階でホイッスル?」
ホイッスルだけではなかった。
意味もなく投げられたロープ底を向けたままのカヤックに向かって投げ込まれるスローロープ。
しかも、全然届いていない。

水中に没したままのK岡さんがそれに気付く訳もなく、何度かロールを試みたもののあえなく沈脱。
大型カナディアンの我が家はあっさりとクリアして、結局ポンモシリの瀬の犠牲者はK岡さんだけとなったのである。(我が家の動画
皆が下り終えたのを見届けてから川の下流に目をやると、そこには、一人流されて寂しそうに岩の上に腰掛けているK岡さんの姿があった。

後になってから判明したのだが、フライング気味のホイッスルとスローロープは、いずれもO橋さんによるものだった。
それまで、ホイッスルやスローロープを使う機会がくるのを今や遅しと待っていたので、目の前でK岡さんがひっくり返った瞬間、矢も盾もたまらずに両方を一気に繰り出してしまったらしい。 (ポンモシリの瀬の動画


ポンモシリの瀬を下る私達   寂しそうなK岡さん
我が家はあっさりとクリア   一人寂しそうなK岡さん

岩に張り付いたカヤック最大の難所をクリアして後はのんびりと思っていたが、石狩川はそうはさせてくれない。
瀬の中を下っていくと、前方でS良さん父が沈脱するのが見えた。

そしてそのカヤックが、流れの真ん中に突き出た大きな岩に、コクピットを上流側に向けた状態で張り付いてしまった。
カヤックのメンバーが直ぐに集まってくるが何もできず、岸からも離れた孤立した岩なので手の出しようがない。

流されたS良さん父は、他のメンバーにレスキューされたようである。

I山さんが岩に乗り移るのをカナディアンでサポートI山さんが岩の上にカヤックから岩の上に乗り移ろうとしていたので、Y須賀さんと我が家のカナディアンを横に付けてカヤックを固定する。
I山さんが無事に岩に乗ったのを確認して、残されたカヤックを岸に移動。

石山さん一人で、張り付いたカヤックを剥がせるかどうか心配して岸から眺めていたが、何とか岩から外れたようで艇が下流へと流れ出した。
直ぐにカヤックのメンバーが、その艇を確保して岸へと誘導。

これで一件落着かと思ったが、岩の上に一人残されたI山さんのことを思い出す。
我が家のカヌーでI山さんを迎えに行き、真ん中に乗ってもらって、岸まで連れ帰る。

岩に残されたI山さんをカナディアンに乗せる何時もならばこのような時、カナディアンでは何もできずに見学していることが多いのだけれど、今回はカナディアンならではの方法でレスキューに協力できて、ちょっとだけ嬉しかった。
そして、特に誰かが指示を出さなくても、それぞれが自分の判断で動いてトラブルにスムーズに対応できたことも、クラブの一員として心強く感じたのである。
レスキューの様子の動画

S良さん父は2度目の沈で消耗も大きそうなので、下流の川原で昼の休憩となる。
目の前にはちょうど良いウェーブがあり、そこで遊ぶ人、のんびりと休む人と、夏の訪れを感じる日差しの下で時間を過ごした。


石狩川の川原で休憩   コロちゃんものんびり
川原でのんびりと休憩   コロちゃんものんびり

美しい巨大堰堤そこから下流、ゴール地点の間までには2か所の堰堤がある。
最初の堰堤は落差も大きく、水の流れていない部分から皆で協力し合ってカヌーを降ろす。

川下りのためには全く邪魔な構造物でしかないけれど、そこを流れ落ちる水のしぶきと合わせて人工構造物の美しさも感じる堰堤である。

次の堰堤は右岸側のゲートが開いていれば、そこを通過できる。
とは言っても、前回の増水時には私達は藪こぎをしながら左岸をポーテージしていた。
I山さんとIW田さんが手前で上陸して、様子を見に行ってくれる。

堰堤のゲートを通過 その結果、通過はできるけれど、左の方は水が巻いていて危ないので、ゲートの右寄りに入った方が良いとのことである。
その説明にガンちゃんが「右だね?右から入れば良いんだね?」と、何度も確認する。
そうして順番に下っていったが、落差も小さく拍子抜けするくらいに簡単に通過できてしまった。
ただ、I山さんに言われたことを意識してかみさんが右に寄りすぎるものだから、右漕ぎの私はパドルを入れる場所が無くて困った程度である。

たとえ簡単に下れたとしても、人口の構造物にはどんな危険が隠れているかも知れないので、注意を怠ることはできないのだ。

難所をクリアし、堰堤も越え、流れも次第に落ち着いてきて、ゆったりと下っていく。
後ろを振り返ると、川の向こうに、まだ雪を抱く黒岳や旭岳の姿が見えていた。
石狩川のこの区間を下る時は、そんな山の姿が見えることも楽しみの一つなのだが、背後の風景なので気が付かないうちにベストビューポイントを逃していたかもしれない。


石狩川の風景
もっと上流に大雪の山が良く見えるビューポイントがあったはず

かみさんは水の汚れが気になるようだ。
「昨日の水ならば顔にかかっても平気だけど、ここの水は絶対に嫌!」
前日に下った支湧別川と比べるのも酷である。
水深の浅い場所では川底の石も透けて見えるし、石狩川全体から見ればこの付近はまだ十分に清流と言える気がする。

ゴール地点が見えてきた。
そこに車を回した時、川の上流に大きな波の立つ瀬があるのを確認している。
瀬の中でカヌーが跳ね上げられた遠くから見ても大きな波に見えると言うことは、川の上から見ればとんでもなく大きな波なのは経験上分かっていることだ。
それもあったので、kenjiさんがコロちゃんを乗せて下るのがちょっと心配だったのである。
間隔もあまり開けずに一列縦隊でその瀬に向かっていく。
私達の前を下っていたN島さんのOC-1が、一瞬見えなくなったと思ったら、次の瞬間、跳ね上げられるようにして波の上に飛び出してきた。
「これは凄いかも!」
OC-2の私達の舟も、同じように波に思いっきり跳ね上げられる。
でも、素直な波なので恐怖感はない。
遊園地の乗り物で遊んでいるような感覚でその瀬を通り抜けた。
kenjiさんとコロちゃんも無事にその瀬を下ってきた。

最後のおまけに大河のパワーを披露してもらって、石狩川の川下りを楽しく終えたのである。

2014年6月29日 晴れ時々曇り
当日12:00石狩川水位(上川観測所) 325.31m


石狩川の風景   石狩川の風景
この辺りの山の眺めが一番良いかも   川を横切る巨大堰堤

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