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湧別川

(瀬戸瀬川〜遠軽橋)

 カヌークラブの5月例会は湧別川。
 これまで支湧別川から旧白滝駅付近までは下っていたけど、それより下流部はクラブの例会で下るのは初めて。
 6年前に白滝市街地から旧白滝駅までを下った時の例会では、30人を超える参加者で川の上は大賑わいになった。
集合写真 今回下る瀬戸瀬ダムから遠軽町までの区間はその時よりも難易度が低く、初心者でも参加できるように配慮していたし、天気も前日までの低温傾向から一変して、気温も一気に上がり、最高の川下り日和。
 一体どれくらい集まるのかと楽しみにしていたら、集合場所の丸瀬布道の駅に集まったのは我が家を含めて僅か10名。
 何で?と思ったけれど、GWにこの区間を下見した時に「大増水した川でI山さんが沈脱して流された」等の情報が掲示板に書き込まれていたので、敬遠した人が多かったのかもしれない。
 しかし、その時よりも水位は30センチも下がり、水の濁りも取れ、絶好のコンディションである。
 まあ、少人数の方が行動しやすく、何時ものお馴染みメンバーばかりなので、今日は楽しい川下りができそうだ。

 私は、湧別川ダム下流救世橋の下からスタートするのかと思っていたが、偵察隊が選んだのは支流の瀬戸瀬川だった。
 幅数メートル程の小さな川だけれど、直ぐ先で湧別川に合流する。
湧別川と合流 その合流部と救世橋の間は、増水時にはかなり激しい瀬となっていたので、ここからだとそこをパスすることができる。
 水の澄んだ瀬戸瀬川の清らかな流れを下っていくと、湧別川の荒々しい瀬の下へと出てくる。
 さすがに湧別川の水はそれよりも透明度は落ちるけれど、大増水時の茶色からやや青みを帯びた色へと変わっていて、なかなか美しい。
 カヤックやOC-1のメンバーは早速サーフィンをして遊び始める。
 増水時には恐ろしげに見えていた瀬も、今日の水量ならばスリリングに下れそうである。
 そこで早速I田さんが1回目の素沈を披露してくれた。
 最近はI田さんの素沈を見ても誰も気にしなくなっていて、「あ〜、またやってる」と眺めているだけである。
 それでも、流され始めたら放ってもおけないので、渋々とレスキューに駆け付けるのである。


湧別川と合流
湧別川の瀬の下に出てくる、救世橋とダムが見えている

サーフィン   沈
早速サーフィンに興じる   早くも沈

楽しい瀬が多い 皆が遊び終わったところでようやく川下りの本番が始まる。
 水位が下がったとは言っても、普段の湧別川よりはまだかなり水が多い。
 初心者でも下れる川とは言い難い状況だけれど、今日の参加メンバーにとっては楽しい流れとなっている。
 川幅も広がっているので、高い波の立つ瀬があっても余裕でそれをかわすことができる。
 バウを漕ぐかみさんは、ひたすらチキンルートを下ろうとするので、私はやや欲求不満気味だ。

  スタート地点にはコゴミやアズキナ(ユキザサ)が出ていたので、山菜のありそうな場所を見つけると、好きなメンバーは直ぐに上陸して探し始める。
山菜探査中 目的は行者にんにくらしいけれど、その姿にはなかなか逢えないようだ。

  寒い日が続いていたので、コブシがようやく花を咲かせたところで、桜はまだ蕾のままである。
 時期的にちょうど花見カヌーが楽しめそうだと楽しみにしていたので、これはちょっと残念だった。
 その代わりエゾムラサキツツジが岩場の上で咲いている姿を楽しめた。
 垂直の岩壁に纏い付く様に根を伸ばした樹木や、不思議な形をした岩など、面白い地形も多い。
 「何とかの岩」とか、それらしい名前をつけて、川下り観光地図とかを作るのも面白そうである。


美しい湧別川
崖の上にはエゾムラサキツツジの花が

岩を覆う木の根   不思議な岩
しっかりと岩を抱え込む木の根   滑らかな凹凸の岩

堰堤越え 今回の区間で唯一の障害物、野上の堰堤が現れた。
 GWの増水時に見た時は、間違って落ちたら確実に死ねるなって感じの恐ろしさだったけれど、今日はスロープ部分から水が落ちているだけで、その他は堰堤本体が剥き出しになっている。
 おかげで、そこから直接カヌーを下ろせるのでポーテージはとても楽である。
 水は減っても、スロープを流れ落ちた水はその先で真っ白に逆巻いている。
 見るからに恐ろしげな流れだけれど、大型カナディアンなら行けそうな気もする。
 もちろん全員がポーテージしたけれど、堰堤を降りたところでI山さんがカヤックに乗り込んだ。
チキンルートを下る 「えっ?そこから入るの!」
 どうやら途中からその流れに突っ込むつもりらしい。
 「止めなさいって、危ないわよ!」と女性陣から声が上がる。
 皆の心配と期待の入り混じった視線に見守られながら、逆巻く波の中に突撃していくI山さん。
 と思ったら、そのまま流れの脇をチョロチョロと下って、最後の岩の上からチャポンと音をたてて無事に着水。
 心配しながら見守っていた人達は、ガクガクガクとその場に崩れ落ちてしまった。


堰堤越え   増水時の堰堤
水位が下がって堰堤越えも楽ちん   GWの時の堰堤、これではポーテージも大変

レスキュー中 先を下っていたメンバーが途中の川原に上陸。そこで昼の休憩にするらしい。
 気持ち良さそうな川原なので、私も喜んで上陸しようとしたら、またI田さんのカヌーがひっくり返っているのが見えた。
 「えっ?何で?」
 流石に「素沈のI田」と呼ばれるだけあって、誰も予想しないような場所でいつの間にか沈しているのである。
 「自分で何とかするだろう」と見ていたが、そのままどんどん流されていくのでしょうがなくレスキューに向かう。
 このために、快適そうな川原での昼食はキャンセルとなり、I田さんを拾い上げた岩の上でそのまま昼を食べることとなった。
 ちょうどそこにはアズキナが沢山生えていたので、I田さんは文句を言われずに済んだのである。

 山間部を抜けると空が広く感じられる。
 野上橋の下流に大きなウェーブのできている場所があった。
 早速カヤックのメンバーがそこでサーフィンにチャレンジ。入るのが難しそうだけれど、一度入ってしまえばとても気持ち良さそうに波に乗れる。
 私もやってみたかったけれど、勿論かみさんがウンと言うわけはない。しょうがなく撮影係に徹する。


大波にどっきり   サーフィン
突然の大きなウェーブにびっくり   F本さん、気持ちよさそう!

 遠軽市内に近づいたところでまた大きな瀬が現れた。これが今日最後の瀬になりそうなので、積極的に波の高い場所を攻めていく。
 前方に水面が大きく盛り上がっている場所があった。その先の落差はかなり大きそうだけれど、気にせずにそのまま突っ込む。
 波の上に達した瞬間、その真下に大きな岩がでんと待ち構えているのが見えた。 「あっ!」と言う間もなく、その岩の横を無事にすり抜ける。
 もう少し下る位置がずれていたら、手痛い目に遭っていたかもしれない。
 下で見ていたメンバーは「絶対ぶつかると思った」とのこと。川下り中は他のメンバーを頼りにはできないのである。


分かりづらいけれど、最後の波で左側に大岩が映っている

 やがて遠軽町のシンボル瞰望岩が見えてきた。
 今回のゴール地点は遠軽橋の手前。左岸の河川敷に駐車スペースがあったのでそこをゴールにしたが、川から駐車場までの間に藪があるのでちょっとカヌーを運びづらい。
瞰望岩を眺めて もっと下流にアクセスしやすい場所があるのだが、落ち込みや堰堤のポーテージが2箇所ほどあるので、それを避けたのである。
 でも、この水量ならばポーテージに苦労することも無さそうなので、もっと下まで下ってみたかったところだ。
 特に遠軽橋下流の落ち込み、下るのは無理だけれど名所見物のつもりでち寄りたかった。
 町の真ん中にこんな場所があるのだから、湧別川は奥が深い。
 車にカヌーを積み終え、着替えも済ませて、暖かな春の日射しを浴びながら川下りの余韻にひたる。
 瞰望岩がそんな私達を優しく見守ってくれているようだ。
 最高に気持ちの良い一日目の川下りがこうして終わった。



2010年5月15日 晴れ
当日12:00 湧別川水位(丸瀬布観測所) 174.76m



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